親族に土地を貸すときの契約書|親族間でも決めておきたいこと

「親族に土地を貸すことになったけれど、契約書は必要なのだろうか」

親子や兄弟、親戚など、もともと信頼関係のある相手に土地を貸す場合、このように考える方は少なくありません。

たしかに、知らない相手に土地を貸す場合と比べれば、細かな条件を話し合わなくても進められることはあるでしょう。

しかし、親族だからこそ、土地を貸す条件を曖昧にしないことが大切です。

土地は、短期間で使い終わるものとは限りません。

「いつまで貸すのか」「お金はいくらなのか」「何に使っていいのか」といった話が曖昧なまま始めてしまうと、後になって認識の違いが生じることがあります。

そこで、親族に土地を貸す場合でも、契約書を作って条件を整理しておく方法があります。

目次

親族に土地を貸すときも契約書は必要?

法律上、土地を貸す場合に必ず書面による契約が必要になるとは限りません。

そのため、

「口約束でもいいのでは?」

と考えることもあるでしょう。

ただし、口頭で合意した場合、時間が経つにつれて、

  • いつまで貸す約束だったのか
  • 賃料はいくらだったのか
  • 無料で貸すつもりだったのか
  • 何のために使ってよかったのか
  • 建物を建ててもよかったのか
  • 契約終了後にどうするのか

といった点が分からなくなる可能性があります。

特に親族間では、最初の段階では「そのくらい分かっているだろう」と細かい条件を決めないことがあります。

しかし、土地の利用が何年、何十年と続くと、当事者の生活環境や家族関係も変わります。

契約書は、相手を疑うためのものではなく、最初に決めたことを残しておくためのものと考えると分かりやすいでしょう。

親族に土地を貸すとき、何を決めておく?

土地を貸す契約書では、単に「この土地を貸します」と書くだけでは十分ではありません。

少なくとも、次のような事項を整理しておく必要があります。

1.どの土地を貸すのか

まず、対象となる土地を特定します。

土地の所在地だけでなく、登記上の情報などを確認し、どの土地についての契約なのかが分かるようにします。

土地の一部だけを貸す場合には、さらに注意が必要です。

「庭のこの部分」「土地の半分」といった表現だけでは、後から範囲について認識が違ってしまう可能性があります。

必要に応じて図面などを利用し、貸す範囲を明確にすることも考えられます。

2.何のために土地を使うのか

土地を自由に使ってよいのか、それとも利用目的を限定するのかも重要です。

例えば、

  • 駐車場として使う
  • 資材置場として使う
  • 住宅を建てる
  • 店舗を建てる
  • 家庭菜園として使う

など、利用方法によって契約内容は変わってきます。

特に、土地の上に建物を建てる予定がある場合は、単純に土地を貸す場合とは異なる問題が生じることがあります。

「とりあえず好きに使っていいよ」としてしまうのではなく、どのような利用を想定しているのかを最初に整理することが大切です。

3.賃料をどうするのか

親族間で土地を貸す場合、賃料についても曖昧になりやすいところです。

「家族だから無料でいい」

というケースもあれば、

「毎月○万円を払ってもらう」

というケースもあります。

また、

「最初の数年間は無料」
「固定資産税相当額を負担してもらう」

など、特殊な条件を設定することもあるでしょう。

金銭のやり取りがある場合には、金額だけでなく、支払時期や支払方法なども契約書に記載しておくと、後から確認しやすくなります。

4.いつからいつまで貸すのか

契約期間も重要です。

「とりあえず使っていい」という状態では、貸す側も借りる側も、いつまで利用できるのか分かりません。

特に、

「子どもが家を建てる間だけ」
「数年間だけ資材置場として使う」
「一定期間、駐車場として利用する」

など、貸す目的が決まっている場合には、それに合わせて期間を検討する必要があります。

ただし、土地の上に建物を所有する目的で土地を貸す場合には、借地借家法などが関係することがあります。

単なる土地の貸し借りだと思っていても、契約期間や利用目的によって適用される法律や契約上の扱いが変わることがあるため、注意が必要です。

5.土地の上に建物や設備を設置する場合

土地を貸した親族が、その土地に建物や物置、工作物などを設置する場合には、あらかじめ確認しておきたい事項が増えます。

例えば、

「建物を建ててよいのか」

「契約が終了したら建物はどうするのか」

「設備の修繕費は誰が負担するのか」

などです。

土地だけを貸すつもりだったのに、いつの間にか建物が建ち、その後の扱いについて決めていなかったということになると、話し合いが難しくなる可能性があります。

「親族だからこそ」曖昧にしないほうがいいこと

親族間の契約では、一般的な契約以上に「言わなくても分かるだろう」という部分が増えがちです。

しかし、実際には同じ出来事でも、立場によって受け取り方が違うことがあります。

例えば、

「家を建ててもいい」

という話をしたとしても、

「将来もずっと住んでいい」

という意味なのか、

「土地を貸している間だけ建てていい」

という意味なのかでは、大きく違います。

また、

「固定資産税だけ払ってくれればいい」

という話も、

「固定資産税相当額を毎年払う」

という意味なのか、

「固定資産税を実際に納付してもらう」

という意味なのかで、具体的な取り決めを確認しておいたほうがよいでしょう。

親族間では、契約を厳しくすることよりも、お互いの認識を揃えておくことが重要です。

後になって問題になりやすい「契約終了後」のこと

土地を貸すときに意外と忘れやすいのが、契約が終わった後のことです。

例えば、

「土地を返してもらうとき、何を撤去するのか」

「建物や物置はどうするのか」

「土地を元の状態に戻すのか」

「設備を残してよいのか」

などです。

契約を始めるときには、終了するときのことまで考えないかもしれません。

しかし、土地を長期間貸す場合には、始めるときの条件だけでなく、終わるときの条件も整理しておくことが大切です。

親族間の土地の貸し借りだからこそ、契約書にする意味がある

契約書というと、「相手を信用していないから作るもの」と考えてしまう方もいるかもしれません。

しかし、親族間の契約書は、必ずしもそういうものではありません。

むしろ、

「この条件で貸す」

「この条件で借りる」

という共通認識を残しておくためのものです。

口頭で話した内容も、年月が経てば記憶が変わることがあります。

当事者だけでなく、その家族や相続人などが関係してくることもあります。

だからこそ、親族だからこそ話し合った内容を契約書にして残しておくという考え方があります。

親族に土地を貸すなら、「誰に何を貸し、どう使うのか」を整理する

土地の貸し借りは、親族同士だから簡単に済ませられるとは限りません。

特に、

  • 土地を何に使うのか
  • 無償なのか有償なのか
  • いつまで貸すのか
  • 建物を建てるのか
  • 修繕や管理を誰が行うのか
  • 契約が終わったらどうするのか

といった点は、後から問題にならないよう、最初に整理しておきたいところです。

そして、土地の利用目的や契約条件によっては、借地借家法などの関係から、単純な「土地の貸し借り」として扱えない場合もあります。

そのため、親族間だからといって、一般的なひな形をそのまま使うのではなく、実際の取引内容に合わせて契約条件を整理することが大切です。

契約書は、関係を堅苦しくするためのものではありません。

後になって「そんな約束だった?」とならないために、今の時点で話し合ったことを、今のうちに形にしておくためのものです。

大野

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