「北の国から」で考える、口約束と連帯保証人。人を信じることと契約書は別の話
「北の国から」といえば、北海道・富良野を舞台に、黒板五郎と純、蛍の家族を中心として描かれた長編ドラマです。
自然の中で暮らす家族の姿だけでなく、親子、友人、近所の人たちとの間にある「約束」や「人情」も、この作品の大きな魅力でした。
ところが、契約書という視点から「北の国から」を見てみると、少し違ったものが見えてきます。
たとえば、五郎が人の借金の連帯保証人になってしまう話があります。
『北の国から ’83冬』では、みどりの借金について、五郎が連帯保証人になっていたことが明らかになります。五郎自身が借りたお金ではないにもかかわらず、返済義務を負うことになります。公式のあらすじでも、五郎が700万円の返済義務を負わされる展開が紹介されています。
これは、契約書について考えるうえで、とても重要な話です。
「あの人を信じているから」は、契約とは別の問題
現実でも、
「昔からの知り合いだから」
「困っているから助けてあげたい」
「絶対に迷惑はかけないと言われたから」
という理由で、お金を貸したり、保証人になったりすることがあります。
人を助けること自体は悪いことではありません。
しかし、
その人を信頼していることと、その人が約束どおり返済できることは、同じではありません。
ここを分けて考える必要があります。
どれだけ仲の良い友人でも、仕事が順調とは限りません。
家族であっても、将来の生活状況まで分かるわけではありません。
そして、本人に返済する意思があったとしても、実際に返済できるとは限りません。
契約は「人柄」ではなく、「誰が、誰に、何を、どのような条件で約束したのか」を具体的にするものです。
連帯保証人は「名前を貸すだけ」ではない
「保証人」という言葉を聞くと、単に「この人も知っていますよ」と証明するようなものだと思ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、連帯保証人になるということは、単なる名前貸しではありません。
主たる債務者が返済できない場合などに、保証人自身が責任を負うことになります。
だからこそ、
「頼まれたから名前だけ書いておこう」
では済まない問題になります。
『北の国から』の五郎も、自分自身が作った借金ではないのに、連帯保証人になったことで大きな問題に巻き込まれていきます。
ドラマだから特別な話なのではありません。
現実の契約でも、誰かのために保証を引き受けるということは、それだけ大きな意味を持っています。
契約書は「相手を疑うため」のものではない
ここで、契約書の話に戻ります。
契約書を作るとき、
「相手を信用していないみたいで嫌だ」
「親しい相手なのに、そんなものを作る必要があるのか」
と感じる人もいます。
しかし、契約書の役割は、必ずしも相手を疑うことではありません。
むしろ、
お互いに何を約束したのかを、後から確認できるようにしておくこと
に大きな意味があります。
たとえば、
- いくら支払うのか
- いつ支払うのか
- 何をしてもらうのか
- どこまでが相手の仕事なのか
- 約束を変更するときはどうするのか
- 約束を守れなかった場合はどうするのか
こうしたことを、あらかじめ整理しておく。
それが契約書です。
「そんなつもりじゃなかった」を防ぐ
契約書が必要になるのは、最初から揉めるつもりがある場合だけではありません。
むしろ、問題になるのは、
「そんな約束だったっけ?」
という、お互いの認識のズレです。
契約した当初は、二人とも同じことを考えていたつもりでも、時間が経てば記憶が変わります。
仕事の内容が変わったり、担当者が変わったり、会社の状況が変わったりすることもあります。
そのときに、
「最初に何を約束したのか」
を確認できるものがある。
契約書には、その役割があります。
『北の国から』の世界に契約書があったら
『北の国から』の魅力は、人と人との関係が非常に濃いところにもあります。
困ったときには助ける。
誰かが困っていれば周囲が動く。
お金だけでは割り切れない人間関係があります。
だからこそ、現実の契約では少し難しいところがあります。
「昔からの付き合いだから」
「お互い分かっているから」
という関係ほど、細かい条件を確認しないまま話が進んでしまうことがあるからです。
そして、後から問題が起きたとき、
「いや、そういう意味で言ったんじゃない」
「そこまでは頼んでいない」
「そんな条件は聞いていない」
となってしまう。
これは、相手を信用していたからこそ起こる問題でもあります。
契約書は、人間関係の代わりにはならない
もちろん、契約書があればすべての問題がなくなるわけではありません。
契約書を書いたからといって、相手が必ず約束を守るわけでもありません。
大切なのは、
人を信じることと、約束を具体的にしておくことは両立する
ということです。
信頼しているからこそ、
「では、何を約束したのかを一度整理しておきましょう」
とする。
それは、相手を疑うこととは少し違います。
むしろ、お互いの認識をそろえるための作業です。
契約書は「人を疑う書類」ではなく、「約束を整理する書類」
『北の国から』を見ていると、人間関係は契約書だけでは割り切れないことがよく分かります。
一方で、現実の仕事やお金のやり取りでは、「人情」だけでは解決できない問題もあります。
だからこそ、
人を信じることと、契約書を作ることは別の話です。
誰を信じるかは、その人自身が決めること。
そのうえで、
「私たちは何を約束したのか」
「どこまでが相手の責任なのか」
「お金はいつ、どのように動くのか」
を整理しておく。
契約書を作るというのは、単に文章を書くことではありません。
実際の取引や約束の内容を整理し、後から「こんな話だったっけ?」とならない形にしておくことでもあります。
『北の国から』の世界には、人と人との約束がたくさんあります。
その約束を現実の仕事に置き換えてみると、改めて契約書の意味が見えてくるのではないでしょうか。
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感情や立場の違いが関わる問題は、早めに整理しておくことで 将来のトラブルを防げる場合があります。
大野