なぜ「中央区」「北区」「西区」はよく聞くのに、「東区」「南区」は少ない?地名の不思議
「中央区」「北区」「西区」という地名を聞くと、なんとなく身近に感じる人も多いのではないでしょうか。
東京には中央区と北区がありますし、大阪市には北区・中央区・西区があります。
一方で、「東区」「南区」という名前は、少し珍しいように感じませんか?
実は、これは完全な思い込みというわけでもありません。
ただし、全国的に見ると「東区」「南区」が少ないわけではありません。
では、なぜ私たちは「中央区」「北区」「西区」をよく耳にするのでしょうか。
実は「東区」「南区」も存在する
まず知っておきたいのは、「東区」「南区」が決して珍しい名前ではないということです。
たとえば政令指定都市を見ると、札幌市には「東区」「南区」があります。
福岡市にも「東区」「南区」があり、岡山市には「東区」「南区」、熊本市にも「東区」「南区」があります。
つまり、「東区」「南区」が全国的に少ないというわけではありません。
さらに、さいたま市には「南区」がありますし、相模原市にも「南区」があります。
それでも「中央区」「北区」「西区」のほうが多いように感じるのはなぜなのでしょうか。
「中央区」は特に分かりやすい
まず「中央区」です。
これは非常に分かりやすい名前です。
市の中心部や、その都市の中心的な地域を「中央」と呼ぶことができます。
実際、大阪市の中央区は、旧東区と旧南区の合区によって1989年に誕生しました。大阪市の資料でも、中央区は平成元年から使用されている区名とされています。
「中央」という言葉には、
市の中心
商業の中心
行政の中心
繁華街の中心
といったイメージがあります。
そのため、都市の区名として非常に採用しやすい名前なのです。
「北区」も比較的使いやすい
「北区」も同じです。
都市の北側にある地域を、そのまま「北区」と呼ぶことができます。
しかも、「北」という言葉には住所や地域を説明するうえで分かりやすいというメリットがあります。
実際、札幌市、大阪市、東京都、さいたま市、名古屋市、京都市など、さまざまな都市で「北区」が使われています。
特に大きな都市では、行政区を新しく設ける際に「北」「南」「東」「西」といった方角を使うと、住民にとって区域をイメージしやすくなります。
では「西区」はなぜよく聞く?
「西区」も同様です。
大阪市、横浜市、さいたま市、広島市、福岡市、神戸市などに「西区」があります。
「西区」という名前は、単純に市域の西側にある区域を表すだけでなく、都市によっては昔から使われてきた行政区名として定着しています。
たとえば大阪市の「西区」はかなり歴史が古く、現在の大阪市の区名の中でも長く使われてきた名前の一つです。
つまり、一度定着した区名は、その後もそのまま使われ続けることがあります。
「東区」「南区」が少なく感じる理由
ここが一番面白いところです。
「東区」「南区」が少ないというより、都市によって区名の付け方が違うため、私たちが普段目にする地名の中で偏りが生まれていると考えたほうがよいでしょう。
たとえば大阪市を見てみると、「北区」「中央区」「西区」はありますが、「東区」「南区」はありません。
大阪市には「東淀川区」「東成区」「東住吉区」など、「東」を含む区名はあります。
一方、「南」という言葉も「南区」という単独の区名ではなく、住之江区、住吉区、阿倍野区、平野区、東住吉区など、別の歴史的な地名が使われています。
つまり、
「東区・南区という名前が使われない」のではなく、「昔から存在する地名や別の名称が採用されているため、東区・南区にならなかった都市がある」
ということです。
区名は単純に方角だけで決まるわけではない
行政区の名前は、「ここは北だから北区」というように機械的に決められているわけではありません。
実際には、その地域の歴史や既存の地名、住民の意見、区の位置関係など、さまざまな事情が関係します。
たとえばさいたま市では、政令指定都市への移行に伴って「西区」「北区」「大宮区」「見沼区」「中央区」「桜区」「浦和区」「南区」「緑区」という9区が設置されました。
つまり、「方角+中央」という単純な構成ではなく、もともとの地域名も大切にされていることが分かります。
「東区」「南区」は実は珍しくない
ここまで見てくると、最初の疑問に対する答えが見えてきます。
「中央区・北区・西区はよく聞くのに、東区・南区は少ない」
という感覚は、全国的な区名の数をそのまま反映したものではありません。
実際には、「東区」も「南区」も複数の政令指定都市に存在します。
むしろ、
自分が住んでいる地域や、普段ニュースなどで耳にする都市によって、よく聞く区名が変わっている
と考えたほうが正確です。
ちなみに、札幌市は面白い例です。
札幌市は1972年に政令指定都市となった際、「中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区」の7区でスタートしています。現在は分区を経て10区となっています。
つまり札幌では、「東区」「南区」は決して珍しい地名ではありません。
地名には、その地域の歴史が残っている
普段何気なく使っている「中央区」「北区」「西区」。
そして、少し珍しく感じる「東区」「南区」。
これらは単なる方角ではなく、都市がどのように発展し、行政区がどのように作られてきたのかを映している名前でもあります。
区名を見てみると、
「なぜこの名前なんだろう?」
と思うことがあります。
しかし、その疑問を調べてみると、昔の行政区画や合併、分区、古くからの地名など、その土地の歴史が見えてくることがあります。
次に「中央区」「北区」「西区」「東区」「南区」という名前を見かけたときは、
「この名前は、いつ、どうやって決まったんだろう?」
と考えてみるのも面白いかもしれません。
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大野