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相手から契約書を渡されたらどこを確認する?サインする前のチェックポイント

「取引先から契約書が送られてきたので、内容を確認してサインしてください」

このように、相手方が作成した契約書を渡されることは珍しくありません。

業務委託契約書、秘密保持契約書(NDA)、売買契約書、ライセンス契約書など、さまざまな場面で契約書が登場します。

しかし、契約書を渡されたときに、内容を十分に確認しないまま、

  • 「相手の会社が作ったものだから大丈夫だろう」
  • 「一般的な契約書だろう」
  • 「細かく読むのは面倒だから」
  • 「早くサインしないと取引が進まないから」

と、そのまま署名・押印してしまうのは注意が必要です。

契約書は、サインをした後に「知らなかった」「そんなつもりではなかった」と言っても、簡単には契約内容を変えられないことがあります。

この記事では、相手から契約書を渡されたときに、サインする前に確認しておきたいポイントを解説します。

目次

契約書は「相手が作ったもの」として確認する

まず大切なのは、相手から渡された契約書を、単なる「手続書類」として見ないことです。

契約書は、当事者間の権利や義務を決める重要な書類です。

そして、相手方が作成した契約書であれば、当然ながら、相手方にとって都合のよい内容が含まれている可能性があります。

もちろん、相手が意図的に不利な条項を入れているとは限りません。

ひな形をそのまま使用している場合や、過去の契約書を流用している場合もあります。

しかし、結果として、

  • 自分だけが負担する義務
  • 相手だけが広く認められた権利
  • 予想以上に重い損害賠償責任
  • 契約を終了しにくい条件

などが含まれていることはあります。

そのため、契約書を渡されたら、

「この契約書は、誰にとって有利な内容になっているのか」

という視点で確認することが重要です。

サインする前に確認したい7つのポイント

1. 契約当事者は正しく記載されているか

最初に確認したいのは、契約当事者です。

契約書の冒頭や署名欄には、通常、契約を締結する当事者の名称や住所などが記載されています。

例えば、会社との契約であれば、

  • 会社名
  • 本店所在地
  • 代表者名

などを確認します。

個人事業主との契約であれば、屋号だけでなく、実際に契約する個人が誰なのかを確認する必要があります。

また、契約の相手がグループ会社や関連会社の場合には、実際に取引を行う会社と契約当事者が一致しているかも確認が必要です。

例えば、実際に仕事を依頼してくる会社と、契約書に記載されている会社が異なっている場合、後から「契約相手は別会社だった」という問題になる可能性があります。

誰と契約するのかは、契約書の基本です。

2. 契約の目的と自分の義務を確認する

次に確認したいのが、契約によって自分が何をしなければならないのかです。

例えば、業務委託契約書であれば、

  • どのような業務を行うのか
  • いつまでに行うのか
  • どのような成果物を納品するのか
  • どの程度の品質が求められるのか
  • 修正は何回まで対応するのか

などを確認します。

「業務を行う」とだけ書かれていて、具体的な業務内容が明確でない場合、後から相手から、

「そこまで対応する契約だったはずです」

と言われる可能性があります。

また、契約書に書かれている業務内容と、実際に口頭で説明された内容が異なっている場合も注意が必要です。

契約書に書かれている内容と、実際の取引内容に違いがある場合には、契約書の修正を検討する必要があります。

3. 料金・支払条件を確認する

契約書の中でも、特に重要なのが料金や支払いに関する条項です。

例えば、

  • 報酬はいくらか
  • 消費税は別途か
  • いつ支払われるのか
  • 支払方法は何か
  • 振込手数料はどちらが負担するのか
  • 成果物の納品後に支払われるのか
  • 検収後に支払われるのか

などを確認します。

特に注意したいのが、「検収」です。

例えば、

成果物の検収完了後、翌月末に支払う

という契約になっている場合、検収が完了しなければ支払時期が確定しない可能性があります。

また、報酬について、

甲乙協議の上決定する

とだけ書かれている場合には、具体的な金額が契約書から分からないことがあります。

「報酬については別途協議する」という契約であれば、契約書とは別に、見積書や発注書などで報酬額を明確にしておく必要があります。

4. 契約期間と更新条件を確認する

契約期間も、必ず確認したいポイントです。

契約書には、

  • 契約期間はいつからいつまでか
  • 自動更新されるのか
  • 更新を拒否するにはいつまでに通知する必要があるのか

などが定められていることがあります。

特に注意が必要なのが、自動更新条項です。

例えば、

契約期間満了日の1か月前までに、いずれの当事者からも書面による通知がない場合、本契約はさらに1年間更新される。

という条項がある場合、契約を終了させたいときには、契約期間満了日の1か月前までに通知しなければなりません。

この期限を過ぎると、さらに契約が更新される可能性があります。

契約期間を見るときは、単に「いつまでの契約か」だけでなく、

「自分はいつまでに何をしなければ契約を終了できないのか」

を確認することが大切です。

5. 中途解約できるかを確認する

契約を締結した後、事情が変わることはあります。

  • 取引を終了したい
  • 事業方針が変わった
  • 相手との取引を続けることが難しくなった
  • 業務量が多すぎる
  • 採算が合わなくなった

このような場合に、契約を途中で終了できるかを確認しておく必要があります。

契約書によっては、

いずれの当事者も、30日前までに書面で通知することにより、本契約を解約することができる。

と定められていることがあります。

一方で、

契約期間中は、正当な理由なく中途解約できない。

と定められている場合もあります。

また、解約できる場合でも、

  • 30日前の通知が必要
  • 60日前の通知が必要
  • 違約金が発生する
  • 既に発生した費用を負担する

などの条件が付いていることがあります。

「契約を終了できるか」だけでなく、どのような条件で終了できるのかを確認しましょう。

6. 損害賠償の範囲を確認する

契約書の中で、特に注意が必要なのが損害賠償条項です。

例えば、

乙が本契約に違反したことにより甲に損害が生じた場合、乙は甲に生じた一切の損害を賠償する。

という条項があったとします。

このような条項では、損害賠償の範囲が非常に広くなる可能性があります。

また、

  • 直接損害だけが対象なのか
  • 間接損害も含まれるのか
  • 特別損害も含まれるのか
  • 逸失利益も含まれるのか
  • 損害賠償額に上限があるのか

などによって、責任の重さは大きく変わります。

例えば、契約金額が10万円程度の取引であるにもかかわらず、

損害賠償額の上限は設けない

となっている場合、契約違反の内容によっては、契約金額を大きく超える損害賠償責任を負う可能性があります。

そのため、損害賠償条項を見るときは、

「自分が負う可能性のある責任は、最大でどの程度になるのか」

という視点で確認することが重要です。

7. 契約終了後も続く義務を確認する

契約期間が終了すれば、すべての義務がなくなるとは限りません。

契約書には、契約終了後も一定期間効力が続く条項が含まれていることがあります。

例えば、

  • 秘密保持義務
  • 個人情報の管理義務
  • 知的財産権に関する義務
  • 競業避止義務
  • 損害賠償責任
  • 契約終了後の資料返還義務

などです。

特に秘密保持契約書や業務委託契約書では、

本契約終了後も、秘密保持義務は5年間存続する。

といった条項が定められていることがあります。

契約書を確認するときは、契約期間中の義務だけでなく、

「契約が終わった後も、何が残るのか」

を確認することが大切です。

特に注意したい「相手に有利な契約書」の特徴

相手から渡された契約書を確認するとき、次のような特徴がないかも確認しましょう。

自分の義務だけが具体的に書かれている

例えば、

乙は、甲の指示に従い、必要な業務をすべて行う。

と書かれている一方で、相手方の義務が、

甲は、必要な協力を行う。

としか書かれていない場合です。

このように、片方の義務だけが具体的で、もう片方の義務が曖昧な契約書は、実際の運用で負担が偏る可能性があります。

相手だけが契約を解除できる

例えば、

甲は、いつでも本契約を解除することができる。

と書かれている一方で、乙には同じような解除権が認められていない場合です。

このような契約では、相手方は簡単に契約を終了できる一方、自分からは終了しにくい可能性があります。

損害賠償の上限が自分にだけ設定されている

例えば、

甲の損害賠償責任は、過去6か月間に乙に支払った金額を上限とする。

一方で、

乙の損害賠償責任には上限を設けない。

となっている場合です。

このような場合には、当事者間の責任のバランスが取れているかを確認する必要があります。

「一切の費用」「一切の損害」「必要な対応」などの広い表現が多い

契約書には、ある程度抽象的な表現が使われることもあります。

しかし、

  • 一切の損害
  • 一切の費用
  • 甲が必要と認める対応
  • その他一切の義務

など、範囲が広い表現が多い場合には注意が必要です。

このような表現は、具体的にどこまでの義務や責任を負うのかが分かりにくくなります。

契約書を読むときは、

「この条項によって、自分は具体的に何をしなければならないのか」

を考えることが大切です。

契約書にサインする前に確認したいチェックリスト

最後に、相手から契約書を渡されたときに確認したいポイントをまとめます。

契約当事者

  • □ 契約相手の会社名・氏名は正しいか
  • □ 実際に取引する相手と契約当事者は一致しているか
  • □ 代表者や署名者に権限があるか

契約内容

  • □ 自分は何をしなければならないのか
  • □ 相手は何をしなければならないのか
  • □ 業務内容や納品物は具体的か
  • □ 契約書の内容と実際の説明に違いはないか

お金

  • □ 報酬・代金はいくらか
  • □ 支払時期はいつか
  • □ 追加費用が発生する条件は何か
  • □ 振込手数料などの負担者は誰か

契約期間

  • □ 契約はいつからいつまでか
  • □ 自動更新されるか
  • □ 更新を拒否するにはいつまでに通知が必要か
  • □ 中途解約できるか

責任

  • □ 損害賠償の範囲はどこまでか
  • □ 損害賠償額に上限はあるか
  • □ 違約金はあるか
  • □ 契約終了後も続く義務はあるか

「よく分からないけれど、とりあえずサイン」は避ける

契約書を渡されると、相手との関係や取引のスピードを考えて、

「とりあえずサインしておこう」

と考えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、契約書にサインをするということは、そこに書かれた内容について合意するということです。

後から、

「そんな条件だとは思わなかった」

「その条項まで確認していなかった」

「相手から説明されていない」

と感じても、サインをした後に問題を解決することは、サインをする前より難しくなることがあります。

だからこそ、契約書を渡されたときは、少なくとも、

自分は何をしなければならないのか

相手は何をしなければならないのか

違反した場合、どの程度の責任を負うのか

契約を終了するにはどうすればよいのか

を確認しておくことが大切です。

契約書の内容がよく分からないままサインする前に

相手から渡された契約書について、

  • 自分に不利な条項がないか確認したい
  • 相手のひな形をそのまま使ってよいか不安
  • 条項の意味がよく分からない
  • 修正を求めたいが、どこをどう直せばよいか分からない
  • サインする前に契約内容を確認してほしい

という場合には、契約書の内容を一度確認しておくことをおすすめします。

契約書は、単に「形式的にサインする書類」ではありません。

実際の取引内容と契約書の内容を照らし合わせ、自分がどのような義務や責任を負うのかを理解したうえで締結することが重要です。

サインをする前に内容を確認することで、契約締結後のトラブルを防げる可能性があります。

大野

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