意思の合致があると契約が成立します。
契約が成立すると、当事者はその内容に拘束されることになります。
拘束されるのはなぜか?
・契約から簡単に解放できるとなると、一方当事者にあまりにも不利になることが生じる可能性があり、経済活動が滞ることにつながるため。
・契約をするかどうか、その内容を自由に決めることができる(民法第521条)としているのに、簡単に離脱させることは許されるべきではないため。
この拘束力は大変重たいものです。
ただ、当事者が不要と考えている契約についていつまでも拘束させるのも意味がありません。
そこで、契約の拘束力から解放させる制度として「解除」があります。
解除という制度からも一度結んだ契約の拘束力を説明することができます。
それは、簡単には解除できないと考えられるからです。
契約の解除の方法としては、3つ挙げられます。
①合意解除
一方当事者が相手方に解除したいと伝え、相手がこれを承諾した場合
→相手方が承諾しない場合、解除することはできません。
例えば、相手方から嫌です、と言われたら契約から離脱できません。
②約定解除
契約で決めた(契約書で定めた)内容に基づいて解除をする場合
→契約書で規定していない事由で解除することができません。
例えば、暴言を吐かれた場合において、契約書に規定がなければ暴言を吐かれたとしても、それを理由として契約から離脱できません。
③法定解除
法律に基づいて解除する場合
→法律で規定している解除事由がなければ解除することはできません。
例えば、債務不履行が生じていなければ契約から離脱できません。
いずれかでなければ、一度締結した契約から離脱が認められません。
それだけ契約の拘束力が強いということになります。
日常で取引をしていて、簡単に解除が認められているように感じますが、3つのいずれかに該当したうえで契約の解除が行われています。
この人と取引をしたくない、という理由だけでは一度結んだ契約からは離脱できません。
取引をやめたいです
相手方「いやです」
↓
契約書に記載されている解除事由のいずれにも該当しない
↓
相手方はきちんと債務を履行している
↓
契約の解除は認められない。
これを避けるために、きちんと契約書などで解除事由を定めておくことが大切です。
→契約の内容については原則自由に決めること(民法第521条)ができますから。
大野