危険負担とは、双務契約において、債務者の責めに帰すべきでない事由で目的物が滅失、毀損などが起こった場合、そのリスクを債務者と債権者のいずれが負担とするのかという問題です。

例えば、Aが所有する甲不動産をBに売るという契約を締結しました。
甲不動産をBに引き渡す前に火事によって甲不動産が滅失しました。
Aの甲不動産をBに引き渡すという債務は引き渡すものが亡くなっていますから、履行不能(後発的履行不能)として消滅します。
では、Bの甲不動産の代金を支払わなくてはならないのか、という問題です。

つまり、一方の債務が消滅した場合、他方の債務は存続し続けるのか、消滅するのか、という問題です。

これについては、債務者主義と債権者主義という考え方があります。

①債務者主義
反対債務も消滅するという考え方です。
つまり、債務者(売主A)がリスクを負担するという考え方です。

②債権者主義
反対債務は存続するという考え方です。
つまり、債権者(買主B)がリスクを負担するという考え方です。

旧民法では、原則債務者主義、例外債権者主義、と規定していましたが、債権者主義を採用することに批判が多く(手元に何も残らないのにお金だけ払うのは不公平)、現在の民法では削除されています(債権者主義の規定の削除)。

大野