先日、消滅時効とは、をお金の貸し借りの例で説明しましたが、
一定期間の経過と相手方が時効の利益を受ける意思表示をすることで債権者の権利が消滅することになるのが、消滅時効でした。
では、一定期間の経過、相手方が時効の利益を受ける意思表示を指をくわえてみておくしかないのか、といえば
答えはノーです。
現在の民法ではそう言いませんが、時効の中断(以下、「時効の更新」といいます)があります。
時効の更新は進んでいた時効の期間をリセットし、またゼロからスタートさせる仕組みです。
で、注意してほしいのが、
旧民法での、時効の中断事由として、
請求(訴訟の提起などの裁判上の請求や、裁判外で催告をした場合には6か月以内に裁判上の請求をする必要があります)、債務の承認、差し押さえ、仮差押えまたは仮処分がありました。
しかし、現在では(すべてあげると多くなるので、裁判上の請求だけにします)時効の更新と効果、時効の完成猶予という効果、片一方の効果しかないものになったものもあるので注意が必要です。
裁判上の請求は、訴えの提起により訴訟の終了までの時効の完成が猶予されるにすぎません(民法第147条1項1号)。
確定判決又は確定判決と同一の効力を有する和解などにより権利が確定することにより時効期間が更新されます(同2項)。
訴えの却下や取り下げなどの場合には、その時から6か月間は時効の完成が猶予されます(147条1項かっこ書き)。
※完成猶予とは時効の進行を一時的にストップさせることです。
大野