通行地役権は、自分の土地の便益のために他人の土地を通行することができる権利のことを言いますね。
これに似たもの(似て非なるものです)として、囲繞地通行権というものがあります。
囲繞地とは、道路に通じていない土地を囲んでいる周囲の土地のことを言います。
そして、完全に他の土地に囲まれてしまっている土地のことを「袋地」と言います。
道路に出るためには他の土地のいずれかを通行しなくてはならないような土地です。
わかりやすく言うと、3×3に区分けした真ん中です。
民法第210条には、以下のような規定があります。
「他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。」
つまり、民法が他の土地に囲まれて道路に出れない土地の所有者に、他の土地を通行する権利を認めているのです。
この権利を認めないと、他の土地に囲まれて道路に出られない土地を利用することができず、資源が無駄になり、社会的損失が大きいと考えられたためです。
そして、民法第211条第1項、第2項では、
「前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。」
「前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。」
と規定し、さらに第212条では
「第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、1年ごとにその償金を支払うことができる。」
と規定しています。
すなわち、原則として通行料を支払わなくてはならないことになっています。
大野