契約の解除とは、簡単に言うと成立した契約をやめるということです。

契約の成立は、もうご存じの通り、「申込」と「承諾」の意思の表示が合致した場合に成立します。

契約が成立したことにより当事者はこれに拘束されることになり、原則として契約の拘束から離れることはできなくなります。

民法第521条(契約の締結及び内容の自由)
① 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
② 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

契約するかどうか、誰と契約するかどうか、その内容をどうするかを自由に決定できる自由を与えているわけですから、契約が成立したのであれば、簡単に離脱させることは許されるべきではありません。

そのため、契約に拘束されることになっており、法律も拘束することを認めています。

しかし、当事者が不要と考えている契約にいつまでも拘束させておくのも経済的に意味がありません。

そこで、契約から離脱する方法として「解除」という制度があります。

ただ、契約には拘束力が認められていますから、当事者の合意なくして一方的に契約を解除することは許されません。

なぜなら、一方的な契約の解除を認めてしまうと安心して契約を締結することができなくなるためです。

では、契約解除が認められる場合はどんな場合でしょうか。

①当事者同士による合意で解除する場合(合意解除)

②契約で定めた内容による場合(約定解除)

③法律に規定する場合(法定解除)

例えば、民法第540条(解除権の行使)です。
 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
 前項の意思表示は、撤回することができない。

民法第541条(催告による解除)
 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

民法542条(催告によらない解除)
 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
 債務の全部の履行が不能であるとき。
 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
 債務の一部の履行が不能であるとき。
 債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

大野