特別縁故者とは、亡くなった方(被相続人)と特別に親しい関係にあった人で、被相続人に法定相続人がいない場合において、相続財産の全部又は一部を取得することができる可能性がある人です。
特別に親しい関係とは、被相続人と生計を同じくしていた人や被相続人の療養看護に努めた人、その他特別な密接関係にあった人などを指します。
では、いきなりですが問題です。
AさんとBさんは20年以上共に生活し、生計を同じくしていました。その後、Aさんがなくなりましたが、Aさんには相続人がいません。
BさんがAさんの遺産は私が取得するという意思を表明すると、特別縁故者としてAさんの遺産を取得することができる。
さあ、どうでしょう?
特別縁故者といえる人が、意思表示をするだけで相続財産を取得することはできるのでしょうか?
答えは、×です。
民法第958条の2第1項には以下のように規定されています。
「前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。」
すなわち、相続財産の全部又は一部を与えるかどうかは家庭裁判所が決めるということになります。
大野