相殺とは、自働債権と受働債権を対等額で打ち消し合うことを言います。

自働債権:相殺する側がされる側に対して有する債権     自分の債権です
受働債権:相殺を受ける側がする側に対して有する債権    相手の債権です

もう少し柔らかくいうと、対立する2つの債権を意思表示により消滅させることを言います。

敵状は、可能な状態を言います。

すなわち、2つの債権を意思表示によって消滅させることが可能な状態を相殺適状といいます。

相殺をするためには、相殺適状になっていなければなりません(民法第505条第1項)。

「二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。」

①対立する2つの債権が同種の目的を有していること

②自働債権の弁済期が到来していること

③相殺禁止に該当しないこと

が要件となります。

②については、条文上は「双方の債務が弁済期にあるとき」となっていますが、相殺を行う側は受働債権に関する期限の利益を放棄することができるので、自働債権のみ弁済期が到来していればよいことになっています。

すなわち、

相手方に「払え」といえる状態になっていないと相殺することはできないということになります。

大野