制限行為能力者の取引相手方の保護①において、催告権について触れました。
今日は、もう一つの保護をご紹介します。
それは、制限行為能力者本人が行為能力者であると信じさせるために、詐術を用いて、取引の相手方に行為能力者であると誤信させた場合、取消権が行使できなくなる、(20条)というものです。
制限行為能力者はもちろん、その法定代理人、保佐人、補助人も取消権を行使できなくなります。
例えば、未成年者が免許証を偽造し、成年であると誤信させようとし、相手方が成年者であると誤信した場合です。
積極的に誤信させようとした場合は当然ですが、他の言動と相まって誤信した場合も含まれます。
もっとも、自分が制限行為能力者であると黙っていただけでは、詐術には該当しません。
制限行為能力者は手厚く保護されていますが、詐術を用いたものまで保護しようとは民法はしていません。
取引の安全を保護するべきである、ということです。
大野