任意規定だから、特約によって法律の規定する内容を排除することができる。ということをどこかで耳にしたことがあるかと思います。
そもそも任意規定、その反対の強行規定とは何なのでしょうか。
まずは、強行規定
強制的に適用される法律の規定を言います。
強行規定は公の秩序(社会の一般的なの利益)に関する規定です。
社会がうまく機能するための最低限のルールまでも自由に変更されてしまっては秩序が保たれません。
そのため、強行規定に違反する特約は効力を有しません。
任意規定
法律に規定が存在するものの、それと異なる特約をした場合には、その特約が優先される規定を言います。
強行規定、任意規定と判断するのはなぜなのでしょう。
それは当事者が自由に契約の内容を決めれる原則が認められているためです(契約自由の原則)。
例えば、公序良俗(民法第90条)
公序良俗に反する法律行為は無効と規定されていますが、契約自由の原則からするとこの規定を排除してもよいように思います。
ただ、それでは社会秩序が保たれなくなりますから、公序良俗規定を排除するような内容の契約は無効となります。
したがって、民法第90条は強行規定となります。
では、どうやって強行規定と任意規定を区別するのか
明確な基準はありません。
ただ、強行規定は社会の一般的な利益を守るための規定であることから、法律の規定されている内容が公の秩序に関するものなのか、という視点、つまり法律の趣旨から判断します。
公共性の高い法律の規定であれば、強行規定が多くなります(公法や社会法、物権や身分に関する規定など)。
当事者間で自由に決めさせる方がよいと考えられているもの(契約など)については任意規定が多いです。
また、法律に規定されている文言からも判断します。
強行規定は「することができない」「無効とする」「しなければならない」という強めの文言で規定されています。
任意規定は「することができる」「別段の意思表示がない場合には」という文言で規定されています。
さらに判例から判断することもできます。
大野