ビジネス活動をしていると、契約書を使う場面が多いかと思います。

契約書の作成については情報サイトからひな形をダウンロードして利用するか、行政書士などの士業・専門家をご利用いただくことで解決できます。

また、契約書の内容についての疑問点などについては契約書の精査を利用していただくことで解決できると思います。

契約書そのもの、契約書の内容については上記のサービスをご利用いただくことで解決できますが、契約書にはその他注意しなければならないことがあります。

それは収入印紙です。

収入印紙とは、切手のような証票で印紙税を収めるためのツールです。
収入印紙を貼付することで印紙税を納税したことの証明となります。
印紙税の納付が確定するのは、収入印紙を貼付して再利用ができなくなった時となっています。
このシステム(制度)の根拠法律は、印紙税法です。

収入印紙が契約書に必要な理由

印紙税法に規定があるから、というのはもちろんですがあくまで形式的な理由です。

実質的な理由としては以下のことが考えられます。

収入印紙を貼ることで印紙税を納税したことの証明となります。
これは、作成した文書が金銭のやり取りにかかわるものである場合、税金が課せられる対象となるためであり、納税の必要があります。
その証明を収入印紙を使って行うのです(文書に対する納税が済んだことを示す)。

また、納税したことを収入印紙を使って証明することから、契約書という文書に書かれた内容は変更が難しくなります。
内容の変更が難しくなるということは、契約書に書かれている内容が反映されやすくなる、すなわち取引の安定にもなるというのが実質的な理由といえるでしょう。

収入印紙はどう使うのか

  1. まずどこで収入印紙を買うのか。
    郵便局や法務局などで購入することができます。
    またコンビニでも購入することが可能です。
  2. 次に購入した収入印紙はどのように貼付するのか。
    収入印紙の添付が必要となる契約書(領収書)を作成した場合、一般的に契約書の左上の空白に貼ります。
    この時重要なのが、単に収入印紙を貼付するだけでは効力が発揮しません。
    印紙税を納付したことが確定するのは、収入印紙を貼付して再利用ができなくなった時です。
    再利用ができなくなった時とはいつか。
    それは、収入印紙に割印(消印)を押したときということになります。
    したがって、契約書に収入印紙を貼付し、割印を押す必要があります。
    割印は、契約当事者双方が押す必要があります。

収入印紙の負担者

契約書に収入印紙を貼付しなければならない理由についてご理解いただけたと思います。

では、収入印紙代を誰が負担しなければならないのかという疑問点が生じるのではないでしょうか。

原則としては、課税の対象となる契約書を作成した人が収入印紙代を負担することになっています。
ただ、別に契約書を作成した方が収入印紙代を絶対に負担しなければならないわけではありません。
印紙税の負担割合は自由に決めることができるので、契約書を作成する場合、2通作成し双方で1通を保管するという形を取りますので、各自で収入印紙代を負担するというケースが多いです。

貼付を忘れた場合どうなるのか

いざ契約書を作成したが、収入印紙を貼付することを忘れてしまった場合、何か影響が出るのでしょうか。その疑問の解説をします。

契約書に関していえば、契約の効力に影響を与えることはありません。

契約書に収入印紙を貼付しなければならないのは納税のためですから、契約の効力とは関係がありません。

しかし、収入印紙を貼付していないということは、印紙税法に違反しているということになります。
この違反により、本来の印紙税額+その2倍に相当する金額を過怠税として支払う必要があるので注意が必要です。

どんな文書に収入印紙を貼付するのか

契約書と収入印紙については分かった。どんな契約書に収入印紙を貼付しなければならないのか、という疑問が生じます。

これについては、よくある質問です。
以下、どんな文書に収入印紙を貼付しなければならないのか見ていきましょう。

収入印紙が必要となるのは、印紙税法で定められた契約書(課税文書)に限られています。
課税文書とは、次の3つすべてに当てはまる文書をいうとされています(国税庁HPより

  1. 印紙税法に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
  2. 当事者間で課税事項を証明する目的で作成された文書であること
  3. 非課税文書でないこと(印紙税法第5条)

課税文書に該当するかどうかは、文書に書かれている内容に基づいて判断することなります。
内容で判断しますので、文書の名称などで形式的に判断しません(覚書だから課税文書には該当しないなどとは判断しません)。

課税文書一覧

課税文書と印紙税額については以下の表をご覧ください。
この資料は、国税庁のホームページより転載しております(印紙税額一覧表その1およびその2)。

文書の種類印紙税額(1通又は1冊につき)
1
[不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書]
 不動産売買契約書、不動産交換契約書、不動産売渡証書など
(注) 無体財産権とは、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、回路配置利用権、育成者権、商号及び著作権をいいます。
[地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書]
 土地賃貸借契約書、土地賃料変更契約書など
[消費貸借に関する契約書]
 金銭借用証書、金銭消費貸借契約書など
[運送に関する契約書(傭船契約書を含む。)]
 運送契約書、貨物運送引受書など
(注) 運送に関する契約書には、傭船契約書を含み、乗車券、乗船券、航空券及び送り状は含まれません。
記載された契約金額が
1万円未満(※)非課税
10万円以下200円
10万円を超え50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1千円
100万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円
※ 第1号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第1号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
(注) 平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります(詳しくはコード7108をご利用ください。)。
2[請負に関する契約書]
 工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書、請負金額変更契約書など
(注) 請負には、職業野球の選手、映画(演劇)の俳優(監督・演出家・プロデューサー)、プロボクサー、プロレスラー、音楽家、舞踊家、テレビジョン放送の演技者(演出家、プロデューサー)が、その者としての役務の提供を約することを内容とする契約を含みます。
記載された契約金額が
1万円未満(※)非課税
100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1千円
300万円を超え500万円以下2千円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円
※ 第2号文書と第3号文書から第17号文書とに該当する文書で第2号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書となりません。
(注) 平成9年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成される建設工事の請負に関する契約書のうち、契約書に記載された契約金額が一定額を超えるものについては、税率の軽減があります(詳しくはコード7108をご利用ください。)
3[約束手形又は為替手形]
  • (注)1 手形金額の記載のない手形は非課税となりますが、金額を補充したときは、その補充をした人がその手形を作成したものとみなされ、納税義務者となります。
  • (注)2 振出人の署名のない白地手形(手形金額の記載のないものは除きます。)で、引受人やその他の手形当事者の署名のあるものは引受人やその他の手形当事者がその手形を作成したことになります。
  • (注)3 手形の複本又は謄本は非課税です。
記載された手形金額が
10万円未満非課税
10万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円
上記のうち、
  • (1) 一覧払のもの
  • (2) 金融機関相互間のもの
  • (3) 外国通貨で金額を表示したもの
  • (4) 非居住者円表示のもの
  • (5) 円建銀行引受手形表示のもの
記載された手形金額が 
10万円未満非課税
10万円以上200円
4[株券、出資証券若しくは社債券又は投資信託、貸付信託、特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券]
(注) 出資証券には、投資証券を含みます。
記載された券面金額が
500万円以下200円
500万円を超え1千万円以下1千円
1千万円を超え5千万円以下2千円
5千万円を超え1億円以下1万円
1億円を超えるもの2万円
(注) 株券については、1株当たりの払込金額に株数を掛けた金額を券面金額とします。
※ なお、払込金額が無い場合にあっては、資本金の額及び資本準備金の額の合計額を発行済株式(当該発行する株式を含む)の総数で割った金額に株数をかけた金額を券面金額とします。
(非課税文書:1.日本銀行その他特定の法人の作成する出資証券2.譲渡が禁止されている特定の受益証券3.一定の要件を満たしている額面株式の株券の無効手続に伴い新たに作成する株券)

文書の種類印紙税額(1通又は1冊につき)
5[合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書]
(注)1 会社法又は保険業法に規定する合併契約を証する文書に限ります。
(注)2 会社法に規定する吸収分割契約又は新設分割計画を証する文書に限ります。
4万円
6[定款]
(注) 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社又は相互会社の設立のときに作成される定款の原本に限ります。
4万円
(非課税文書:株式会社又は相互会社の定款のうち公証人法の規定により公証人の保存するもの以外のもの)
7[継続的取引の基本となる契約書]
(注) 契約期間が3か月以内で、かつ、更新の定めのないものは除きます。
(例) 売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書、銀行取引約定書など
4千円
8[預金証書、貯金証書]200円
(非課税文書:信用金庫その他特定の金融機関の作成するもので記載された預入額が1万円未満のもの)
9[倉荷証券、船荷証券、複合運送証券]
(注) 法定記載事項の一部を欠く証書で類似の効用があるものを含みます。
200円
10[保険証券]200円
11[信用状]200円
12[信託行為に関する契約書]
(注) 信託証書を含みます。
200円
13[債務の保証に関する契約書]
(注) 主たる債務の契約書に併記するものは除きます。
200円
(非課税文書:身元保証ニ関スル法律に定める身元保証に関する契約書)
14[金銭又は有価証券の寄託に関する契約書]200円
15[債権譲渡又は債務引受けに関する契約書]
記載された契約金額が 
1万円未満非課税
1万円以上200円
契約金額の記載のないもの200円
16[配当金領収証、配当金振込通知書]
記載された配当金額が 
3千円未満非課税
3千円以上200円
配当金額の記載のないもの200円
17[売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書]
(注)1 売上代金とは、資産を譲渡することによる対価、資産を使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)による対価及び役務を提供することによる対価をいい、手付けを含みます。
(注)2 株券等の譲渡代金、保険料、公社債及び預貯金の利子などは売上代金から除かれます。
(例) 商品販売代金の受取書、不動産の賃貸料の受取書、請負代金の受取書、広告料の受取書など
記載された受取金額が 
5万円未満非課税
5万円以上100万円以下200円
100万円を超え200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1千円
500万円を超え1千万円以下2千円
1千万円を超え2千万円以下4千円
2千万円を超え3千万円以下6千円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円
受取金額の記載のないもの200円
(非課税文書:1営業に関しないもの、
2有価証券・預貯金証書など特定の文書に追記したもの)
[売上代金以外の金銭又は有価証券の受取書]
(例) 借入金の受取書、保険金の受取書、損害賠償金の受取書、補償金の受取書、返還金の受取書など
記載された受取金額が 
5万円未満非課税
5万円以上200円
受取金額の記載のないもの200円
(非課税文書:1営業に関しないもの、
2有価証券・預貯金証書など特定の文書に追記したもの)
18[預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険料通帳]1年ごとに200円
(非課税文書:1.信用金庫など特定の金融機関の作成する預貯金通帳、2.所得税が非課税となる普通預金通帳など、3.納税準備預金通帳)
19[消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳]
(注) 18号の通帳を除きます。
1年ごとに400円
20[判取帳]1年ごとに4千円

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大阪府行政書士会所属 南本町行政書士事務所│大阪