因果関係とは行為者に結果を帰属させるための要素であるので、条件関係を前提に、その行為の危険が結果に現実化した場合に因果関係が認められる(危険の現実化)。ここで例えば被害者が血友病であり、少し殴っただけで血が止まらなくなり死亡したという場合を考えてみましょう。
殴りという行為は危険です。その結果死亡しています。ではこの殴るという行為は危険ですが死の結果を問えるほどの強さではなかったとします。しかし、その位で殴っても被害者は血友病だし死ぬだろうと行為者が知っていたとしたら、これは殺人となるでしょう。強く殴っていなくてその被害者にとっては死ぬくらいの行為だったと言えるからです。それを行為者は知っていたからです。しかし知らないとしたらどうでしょうか。場合によっては殺人ではなく傷害致死となるかもしれませんが、危険の現実化の考え方は当時のすべての状況を考慮に入れ判断するため、血友病患者を殴る行為の危険性という判断をすることもできます。このように考えた場合行為者が被害者の血友病を知らなかったとしても殺すつもりで殴っている以上殺人になります。
行政書士 西本