日本国憲法21条1項では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」として、「表現の自由」を保障しています。
つまり、人の内心(考え)を外部に公表すること(言論活動)を権利として保障しています。

では、なぜ憲法に保障規定を設けているのか。
それは、表現の自由には以下のような価値があるからです。
①自己実現
 言論活動は自己の人格の形成と発展に必要だから。
 すなわち、言論活動を通じて自分を成長させることができるから。

②自己統治
 言論活動をすることで民主制の維持、運営ができるから。
 すなわち、言論活動によって、国民が政治的意思形成に参加できるから(どんな社会にするべきかを考えることができる)。

思想・信条・意見・知識などを外部に表現・伝達することが自分を成長させ、また、社会を形成していくことにつながる重要なものであるから、憲法ではこれを保障しているのです。

ただ、表現の自由が保障されていたとしてもどんな表現をしても許されるわけではありません。
他人を傷付けるような言論まで許してしまっては社会が無茶苦茶になってしまいます。

例えば、名誉棄損です。
他人の名誉を傷付けるような表現をしてしまった場合には責任を取ってもらわなくてはなりません。

責任を取ってもらわなくてはならないと書きましたが、一方で憲法上「言論・・・一切の表現の自由は保障する」とも規定があります。
どちらを重視するべきなのか、どう調和を図るのか。

続く

大野