民法・民事訴訟法の考え方– category –
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改正民法の解説⑯危険負担債務者主義(新536条1項)
特定物の物権移転等以外の双務契約において、旧法では、当事者の責めに帰すべき事由でない場合で債務を履行することが出来ないケースにおいて、債務者は反対給付を受けることが出来ないとされていた。 例えば、ある講演をする依頼があり(特定物の物権移転... -
改正民法の解説⑮危険負担(債権者主義の削除)旧534条
2020年4月1日以降では、長きにわたって存在していた危険負担、債権者主義が削除となる。 この規定は、例えば、中古車の売買(民法555条)契約があり、契約日と納車日が1週間ずれていたとする。 契約後、納車までの間に火災でその中古車が灰になってしまっ... -
改正民法の解説⑭代償請求権(新422条の2)
例えば、賃貸借契約をしていて返す日になったとする。その日に借主が返そうとしたら、火災が起こって燃えてしまった。その時に火災保険からこの賃貸借していた建物に保険金が下りた。 その保険金を返せと貸主は借主に言えるということである。 保険金を返... -
改正民法の解説⑬填補賠償(新415条2項)
今回は改正民法415条2項(新規定)について論じる。 本条文は、従来は解釈で認められていたものを条文化したものとなるが条文を眺めていても少しわかりにくい。 これは適用場面を限定しているからに他ならない。 まず415条2項にはどのように書かれているか... -
改正民法の解説⑫原始的不能が債務不履行へ
改正民法412条の2第1項によって、原始的不能の債権であっても債務不履行となるということになりました。債務不履行なんで相手方の帰責性は必要ですが。 例えば、最初からスケジュールに無理があるのに、その日に講演会を入れたとします(講演会を行うとい... -
改正民法の解説⑪法定利率
旧法下では債権が発生した際(契約、不当利得、事務管理、不当利得)に生じる利息については、固定制で年間5%とされていた。これが、利息の発生は当事者で決めたものの、その利率について特約を結ばなかったのであれば、利率は債権発生時から3年間は年率3... -
改正民法の解説⑩協議を伴う合意。新151条1項
これは旧法ではない条文です。AがBに対して債権を有している場合に協議に入ることがあります。この時時効完成が迫っていた場合には時効完成が猶予されるという条文です。 当事者が、書面によって権利行使について協議を行う旨の合意を書面で行った場合には... -
改正民法の解説⑨人の生命又は身体の侵害による、債務不履行と不法行為の消滅時効
これは、そもそも新しい法律です。債務不履行であっても不法行為であっても共に債権です。そしてこの債権は両者とも人の生命や身体を侵害して発生することはあり得ます。 例えば、医療行為は準委任契約ですが(新656条)、これで債務不履行(通常医療従事... -
改正民法の解説⑧不法行為による損害賠償請求権の消滅時効724条
改正前の724条は「不法行為による損害賠償請求権は、①被害者又は法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しない時は、時効によって消滅する。②不法行為の時から20年間が経過した時も同様とする」としていました。 この②については除斥期間とさ... -
改正民法の解説⑦債権等の消滅時効(新166条)
債権の消滅時効は従来は10年でした。新民法では、「債権者が権利を行使できることを知った時から5年間行使しない時」(新166条1項1号)「権利を行使することが出来る時から10年間行使しない時」(新166条1項2号)で消滅します。 例えば、売買契約をして、...