コントを鑑賞しに行き、これが面白くなかった場合、法的な責任はどうなるのか?
テレビや劇場、配信サービスでコントを鑑賞した。
――しかし、正直こう思った。
「……面白くない」
このとき、法律は何か言えるのでしょうか。
返金は? 苦情は? 契約違反?
今回は「コントが面白くなかった場合」を、本気で法律的に検討してみます。
①「面白くない」は違法か?
結論:違法ではありません
まず大前提として、
面白さは法的義務ではありません。
日本の法律には、
面白くなければならない義務
笑わせなければならない責任
は、一切存在しません。
芸人や制作側が負っているのは、
「一定の内容を提供する義務」
であって、
「観客を笑わせる結果責任」
ではないのです。
② チケット代は返してもらえる?
原則:返金不可
有料ライブや配信を想定しましょう。
チケット契約の法的性質は、
👉 「役務提供契約」
つまり、
コントを上演した
公演時間を満たした
中止や著しい瑕疵がない
この条件を満たしていれば、
「面白くなかった」だけでは契約不履行になりません。
料理が口に合わなかったからといって、
レストランが違法にならないのと同じです。
③ 「期待していた内容と違う」はどうか
ここで一歩踏み込みます。
たとえば、
「漫才ライブ」と明示されていたのに、実際はトークのみ
「新作コント」と告知されていたのに、総集編だった
この場合はどうでしょう。
これは
👉 表示内容と実際の提供内容の不一致
となり、場合によっては
消費者契約法
不実告知
重要事項の不告知
が問題になる余地があります。
ただし、
「思ってたより面白くなかった」
は、表示との不一致には当たりません。
期待は、法律上は守備範囲外です。
④ SNSで「つまらない」と書いていいのか
書いてOK。ただし言い方が重要。
批評・感想として
「私は面白くなかった」
「好みではなかった」
と書くのは、表現の自由の範囲内です。
しかし、
人格を貶める表現
事実無根の評価
執拗な攻撃
になると、
👉 名誉毀損・侮辱の問題が生じ得ます。
法律的には、
主観的評価 → 比較的セーフ
断定的・人格否定 → アウト寄り
この線引きが重要です。
⑤ 実は「面白くない」は高度に守られている
少し逆説的な話をします。
コントが「面白くない」と感じられるのは、
表現の自由が保障されている証拠でもあります。
もし法律が、
「不快に感じさせてはいけない」
「笑わせなければならない」
と定めてしまえば、
表現は一気に萎縮します。
つまり、
面白くないコントが存在できる社会
= 表現が自由な社会
でもあるわけです。
芸人にとっては酷ですが、
民主主義的には健全です。
おわりに
コントが面白くなかった。
それは、法律違反でも、契約違反でもありません。
ただ一つ言えることがあるとすれば――
「あなたには、つまらないと言う自由がある」
ということ。
そして制作者には、
「それでも表現する自由がある」
ということです。
この微妙な均衡の上に、
私たちの“笑い”は成り立っています。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本