原告が被告を訴える際、相手方が誰かわからないのであれば訴えようがありませんよね?当事者が誰であるかは誰にどのような権利を確定させるかを目的とする民事訴訟上重要な考え方です。
例えば甲さんを訴えて、甲さんの手元に訴状が届いたのですが、第一回口頭弁論期日に乙さんが来たような場合です。この場合裁判であれこれしたのは乙さんですが、名義は甲さんです。一体どちらに裁判の結果が帰属するのでしょうか?
当事者が確定されなければ訴状の送達ができず、訴訟を開始することができないから基準を明確にし当事者を迅速に確定する必要があります。従って当事者の確定には訴状の記載を基準を明確とするのが妥当です。もっとも書面解釈の際、全く形式的に判断するならば具体的に妥当な結論を導くことはできません。そこで訴状の名義だけでなく訴状を全体的に合理的に解釈して当事者を判断していきます。
事例のような場合では実際には乙が裁判に来ているわけですが、乙は訴訟の結果を受ける気はありません。となると乙は甲の名前を冒用したということですので、実際の裁判には甲が来るべきでした。これが分かった段階で裁判所は乙を排除し甲に出頭要請をすることになります。
行政書士 西本