有効な遺言書にするためのチェックリスト―「書いたつもり」を「確実に効力のある遺言」にするために―
遺言書は、一つでも要件を欠くと無効になる可能性がある法律文書です。
そのため、「だいたい合っていそう」では不十分で、チェックリスト形式での確認が非常に有効です。
以下では、遺言書を作成・保管する際に確認すべきポイントを、
自筆証書遺言を中心に、公正証書遺言にも共通する視点で整理しています。
目次
【基本編】遺言書として成立するかのチェック
□ 遺言者本人が作成しているか
- 本人の意思で作成している
- 強要・誘導・代筆ではない
遺言は「本人の最終意思」が前提です。
第三者の関与が強すぎると、後に争われる原因になります。
□ 遺言能力(判断能力)がある状態で作成しているか
- 内容を理解できる状態だったか
- 作成時期に大きな認知症の症状はなかったか
不安がある場合は、
- 作成時期を明確にする
- 医師の診断書を残す
などの対策が有効です。
【形式編】自筆証書遺言の必須チェック項目
□ 本文はすべて自筆で書かれているか
- パソコン・代筆は使っていない
- 文章の一部だけ手書き、という形ではない
※財産目録のみはパソコン作成可(各ページに署名・押印が必要)
□ 日付が正確かつ特定できる形で書かれているか
- 年・月・日が明確
- 「〇月吉日」など曖昧な表現ではない
日付は遺言の優先順位を判断する重要要素です。
□ 氏名を自書しているか
- 戸籍上の氏名でなくても可
- ただし本人と特定できることが重要
□ 押印がされているか
- 印鑑の種類は問われないが、明確に確認できること
- 消えかかっていないか、重なっていないか
【内容編】トラブルを防ぐためのチェック
□ 財産が具体的に特定されているか
- 不動産:所在地・地番・家屋番号
- 預貯金:金融機関名・支店名・種類
「全部」「一式」といった表現は、争いのもとになりがちです。
□ 相続人・受遺者が特定できるか
- 氏名・続柄が明確
- 同姓同名の可能性がないか
□ 誰に何を相続させるかが明確か
- 「長男に多めに」などの抽象表現は避ける
- 分け方が一義的に決まる内容になっているか
□ 遺留分への配慮がされているか
- 特定の人に偏りすぎていないか
- 遺留分侵害のリスクを理解しているか
遺留分を無視すると、遺言があっても争いが生じます。
【運用編】作成後に見落とされがちなチェック
□ 遺言書の存在がわかる状態になっているか
- 家族や信頼できる人が把握している
- 隠しすぎて発見されないリスクはないか
□ 保管方法は適切か
- 自筆証書遺言書保管制度を利用しているか
- 自宅保管の場合、改ざん・紛失リスクはないか
□ 定期的な見直しを前提にしているか
- 家族構成や財産内容の変化
- 新しい遺言書を作る場合、古いものとの関係
【公正証書遺言を選ぶ場合の追加チェック】
□ 公証人による作成か
- 形式不備のリスクはほぼない
□ 証人2名が適切に立ち会っているか
- 利害関係のない証人であるか
□ 原本の保管先を理解しているか
- 原本は公証役場で保管される
まとめ:チェックリストを使う最大の意味
有効な遺言書とは、
「法律上有効で、かつ、実務上使える遺言書」
です。
- 要件を満たしているか
- 読んだ人が迷わず実行できるか
この両方を満たして初めて、想いが確実に相続に反映されます。
大野