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認知された子どもと国籍・在留資格の関係とは?
日本人の父(または母)に認知された外国籍の子どもが、日本国籍を取得したり、ビザ(在留資格)を取得したりできるのか、という疑問は多く寄せられます。
結論を簡潔にまとめると、以下のとおりです:
- 出生前に認知されていれば、出生時にさかのぼって日本国籍を取得でき、日本人なので在留資格は不要。
- 出生後に認知された場合は、手続きを経て国籍を取得する必要がある。それまでは外国人として在留資格(定住者ビザ等)が必要。
認知をされたのであれば、日本人との間で法律上の親子関係が生じるため、定住者のビザではなく日本人の配偶者等のビザを取得することができそうですが・・・・
- 「日本人の実子」として**「日本人の配偶者等」ビザを取得できるのは、出生時に日本人の親がいる場合のみ**。
このように、「認知の時期」と「出生時の親の国籍」がポイントです。
認知された場合、「日本人の配偶者等」になるのか?「定住者」になるのか?
これは 在留資格審査の運用上の解釈によって分かれます。
- 出生後に認知された子どもは、原則として**「定住者」ビザの対象**です。
- 「日本人の配偶者等」ビザの根拠に「日本人の実子」であることを使うには、出生時に親が日本人である必要があるため、出生後認知では対象外となります。
認知されても自動的に日本国籍は付与されない?
はい、その通りです。
- 出生後に認知された場合、日本国籍は自動的には付与されません。
- 国籍を取得するには、国籍法第3条に基づく**「国籍取得の届出」**という手続きを行う必要があります。
- この手続きによって、初めて日本国籍を取得することができます。
したがって、認知されたことだけではまだ外国人であり、日本に在留するにはビザ(在留資格)が必要です。
日本国籍を取得していない間、どの在留資格になる?
→ **「定住者」**が基本となります。
出生後認知によって法的親子関係が成立していても、国籍を取得していない限り、外国人です。
そして、「日本人の実子として出生した者」に該当しないため、「日本人の配偶者等」ではなく、「定住者」ビザでの滞在が認められるケースが多くなります。
「日本人の配偶者等」ビザは、なぜ出生時に日本人の子でなければならないの?
この点について、法律に明文化された規定はありません。
入管法別表第二には、以下のような記載があります。
「日本人の実子として出生した者」
この文言の「日本人の実子」が、出生時に父または母が日本人であることが前提だと、入管実務(審査要領・ガイドライン)で解釈されています。
つまり:
- 後から認知されても、出生時点では親子関係が法的に存在していなかった
- そのため「日本人の子として出生した」とは言えない
- したがって「日本人の配偶者等」の資格対象にはならない
このような解釈に基づき、審査では厳格に「出生時の親の国籍」と「親子関係の有無」がチェックされます。
出生前認知された子どもは、在留資格は不要?
はい、出生前に日本人の父から認知されていれば、出生時に自動的に日本国籍を取得します(国籍法第2条第1項第2号)。
この場合は、出生時から日本人なので、在留資格(ビザ)は不要です。
日本国内では「外国人」ではなく「日本人」として扱われます。
ただし、外国籍も併有している場合(二重国籍)には、22歳までに国籍選択の義務があります(国籍法第14条)。
まとめ:出生時がすべてを分けるポイント
状況 | 国籍 | 在留資格 | 「日本人の配偶者等」対象? |
---|---|---|---|
出生前認知あり | ○ 自動取得(出生と同時) | 不要 | ○ 該当 |
出生後認知+国籍取得前 | × 外国籍のまま | 定住者 | × 該当しない |
出生後認知+国籍取得後 | ○ 国籍取得(手続き必要) | 不要 | × 出生時でないので非該当 |
おわりに
このテーマは、戸籍・国籍・入管法の知識が複雑に絡むため、誤解されやすい分野です。
手続きを誤ると、国籍取得の機会を逸したり、在留資格を失ったりする可能性もあります。
南本町行政書士事務所では、国籍・ビザに関する複雑な事案にも対応しております。
お悩みの方は、まずは一度ご相談ください。
大野