はじめに:VTuber活動の裏にある“法律の落とし穴”

近年、YouTubeやSNS上でのVTuber活動がますます注目を集めています。個人で始める人も多く、気軽に活動を始められる反面、「著作権」や「契約」に関するトラブルも増えてきました。

特に問題となるのが、「モデル(キャラクター)の著作権の扱い」です。

この記事では、モデラー(モデル制作者)との契約における著作権の譲渡・留保の違いや、トラブルを防ぐ法務ポイントについて、わかりやすく解説します。

VTuberモデルの「著作権」って誰のもの?

モデラーが自動的に著作権を持っている

Live2Dや3Dモデルを作成するモデラー(イラストレーター、3Dデザイナー)は、その創作物について著作権を原則として持ちます
つまり、発注者(VTuber本人)ではなく、制作者側が著作権者になるのが原則です。

VTuberが「自由に使える」と思っていたら…

「依頼してお金を払ったから自由に使える」「商用利用OKって書いてたからYouTubeでも配信していい」と思っていたら、実は動画での使用・改変・転売・グッズ化がNGだったという事例もあります。

これは、著作権の譲渡や使用範囲について明確な契約がないことが原因です。

著作権の「譲渡」と「留保」の違いとは?

区分内容VTuberが自由にできること
譲渡モデラーが著作権を手放し、VTuberに完全に移す改変・商用利用・転売など自由
留保モデラーが著作権を持ったまま、使用許可だけを与える許可された範囲のみ可

例:譲渡された場合

  • グッズにして販売OK
  • 他のイラストレーターに新しい衣装を依頼OK
  • 他のプラットフォームでも自由に活動OK

例:留保された場合

  • 勝手に衣装を追加 → NG
  • モデルを他人に譲渡 → NG
  • VTuberを引退してもモデルは使えない場合あり

安心して活動するための「契約書」の重要性

モデラーとのやりとりは「契約書」で明文化を

契約書に明記すべきポイント

  • 著作権の帰属(譲渡 or 留保)
  • 使用できる範囲(商用利用・配信・改変など)
  • 再委託や譲渡の可否
  • 引退後のモデルの扱い
  • トラブル時の解決方法(準拠法・管轄)

トラブルの実例と教訓

ケース1:モデルが差し替えできない

譲渡されていなかったため、衣装チェンジをしたくてもモデラーの許可が必要に。連絡が取れなくなり活動停止。

ケース2:引退時にモデル返却を要求された

利用許諾契約のみで、引退後は「もうモデルを使わないで」と制作者から通告。グッズ販売も停止に。

VTuberの皆さんへ:法務の備えで活動を守ろう

VTuber活動は「楽しく自由に見える世界」ですが、裏ではしっかりと法的な基盤(契約・著作権)が整っている必要があります
トラブルが起きてからでは手遅れ。活動を始める前に、一度契約内容を見直すことをおすすめします。

まとめ:VTuber法務の3つのチェックポイント

✅ モデルの著作権が誰にあるかを確認する
✅ 使用範囲・許可条件を契約で明記してもらう
✅ 不安がある場合は、専門家(行政書士・弁護士)に相談する

行政書士によるVTuber法務サポートも

当事務所では、VTuber活動をされる方やモデラーの方の契約書作成・追記、トラブル予防法務をサポートしています。
安心・安全なクリエイター活動を続けるためにも、まずはお気軽にご相談ください。

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南本町行政書士事務所