著作権は、現代の情報社会において、避けては通れない重要な法的概念です。
SNS投稿、ブログ記事、動画制作など、日常の表現活動すべてに関わってくるこの権利について、今回は法律家の視点から簡潔に整理してみます。
■ 著作権の定義と法的根拠
著作権とは、「思想または感情を創作的に表現した著作物」について、著作者が有する排他的な権利をいいます(著作権法2条1項1号等参照)。
著作権法は、著作物を創作した瞬間に自動的に著作権を発生させる無方式主義を採っています(登録や届出は不要)。これは国際的にも広く採用されており、ベルヌ条約等に基づく国際的な保護が認められています。
■ 著作権の構造:著作権と著作者人格権
著作権は大きく分けて、以下の2つの権利から成り立っています:
◯ 著作権(財産権的側面)
複製権、公衆送信権、翻案権など、著作物の利用に関して対価を得ることができる権利です。譲渡可能であり、ビジネスにおけるライセンス契約等もこの枠組みで行われます。
◯ 著作者人格権(人格的側面)
氏名表示権、同一性保持権など、著作者の人格的利益を保護する権利です。これらは一身専属権であり、譲渡や相続の対象にはなりません。
■ よくある誤解と注意点
① 「ネットにある画像は自由に使ってよい」は誤り
インターネット上に公開されている著作物にも著作権は当然に存在します。利用にあたっては、著作者の許諾が必要です。
② 引用は自由だが、一定の条件を満たす必要がある
著作権法32条に基づき、「公正な慣行に合致し、報道・批評・研究等の目的で必要と認められる範囲」であれば、著作物の引用は適法とされます。ただし、引用部分の明確な区分・出典の明示・主従関係の維持など、形式要件を満たすことが求められます。
■ 著作権侵害のリスクと対処
著作権を侵害した場合、民事上の損害賠償請求や差止請求、さらに悪質な場合には刑事罰の対象となることもあります(著作権法119条以下)。
特に業務で第三者の著作物を利用する場合は、**権利処理(クリアランス)**を怠らないことが重要です。
■ まとめ:創作と利用のバランスを図る法
著作権法は、著作者の権利を保護する一方で、一定の利用の自由も認めることで、文化の発展を図ることを目的としています(著作権法1条)。
「守られるべき権利」と「利用されるべき文化」のバランスをいかに取るか。現代における法的素養として、著作権の基本的理解は不可欠です。
著作物を創作したデザイナー、小説家、プロデューサーの方ご質問などありましたらいつでもお問い合わせください。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本