先日行われた衆議院議員総選挙において、候補者名、政党名を書く用紙と最高裁の裁判官の名前が書かれた用紙が渡されたかと思います。

その用紙は最高裁判所の裁判官の国民審査の用紙です。

日本国憲法第79条2項、3項には以下のような規定がなされています。

2「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」

3「前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。」

最高裁判所の裁判官に任命された後、初めて行われる「衆議院議員総選挙」の時に国民審査が行われ、投票者の多数が罷免可とした場合、その裁判官は罷免されることになります。

国民が最高裁判所の裁判官をやめさせるかどうかを判断するための用紙だったのです。

やめさせたい裁判官に「×」を記入し、投票します。

どれだけの割合で×だったかは、後に公表されており、今回は、6人の裁判官のうち4人が罷免を求める割合が10%を超えていたそうです。

ただ、多数が罷免可としなければなりませんから、割合としてはそう多くありませんし、罷免されませんでした。

もっとも国民審査で罷免された裁判官は未だ一人もいません。

用紙に×を記入しなければならないことから、何か記入していることがわかってしまい、記入を嫌がる人がいる点
審査の対象となっている裁判官がどんな人か知らない、どんな裁判をした人か知らない人が多い点
最高裁裁判官に任命されてから期間が短い人がいる点
最高裁裁判官に任命されて、在職中に審査を受けなかった人もいる点(選挙がなかったため)

などから実効性があるのか、ということが言われています。

×ではなく、信任します「〇」を記入するように変更した場合、ほとんどの裁判官が罷免される可能性があると思います。ほとんどの国民は用紙をもらってもそのまま投票するでしょうから。

裁判官の国民審査ではなく国会議員を選ぶ投票において、こいつだけはどうしてもなってほしくないという人に対して「×」を記入できるようにし、比例重複候補が比例で当選した人で×の割合が多数の人は比例当選できないとしたら、少し面白いかもしれません。

大野