無効とは、初めから行為の効力が生じていないことを言い、誰かに意思表示をせずとも当然に無効です。

例えば、意思無能力者が行った行為は無効となります(民法第3条の2)。

ただ、無効なものを有効にしようと考える場合もあるかと思います。
例えば、泥酔者が冷蔵庫を買う契約をした。意思無能力者ですから本来その契約は無効です。しかし、素面に戻った時にちょうど冷蔵庫がなかったので買おうと思った場合です。

法律的に不完全な行為を完全な行為とするための手法として「追認」というものがあります。
例えば、未成年者が親の同意なくしてバイクを買ってきた場合において、親が追認すると、バイクの売買契約は完全に有効なものとなります(取消ができなくなります)。

無効な行為について追認はできるのでしょうか?
初めから行為の効力が法律上当然に効力が生じないことを無効というので、追認ということは概念できるのでしょうか?

無効な行為は何をする必要なく効力が生じませんので、取消すことができる行為を取消して行為の効力をなかったことにすることとは異なります。
つまり、架けかけた橋があるのかどうかです。無効な行為は架けかけた橋は存在しませんので、追認ということは概念できないはずです。取消すことができる行為は架けかけた橋が存在するので、追認する(完全な橋にする)ことはできます。

民法第119条には以下のような規定があります。
(無効な行為の追認)
「無効な行為は、追認によっても、その効力を生じない。」

結論としては、無効な行為の追認はない(追認によって効力が生じることはない)ということになります。

ただ、民法第119条には続きがあります。

「ただし、当事者がその行為の無効であることを知って追認をしたときは、新たな行為をしたものとみなす。」

無効な行為に追認はありませんが、無効であることを知って追認した場合には新たな行為をしたものとみなされます。

これは追認時から有効な行為となります。

なお、公序良俗に反する行為はいくら新たな行為として追認したとしても、公序良俗に反することには変わりはありませんから効力を生じることはありません。

大野