民法第202条には、占有の訴えと本権の訴えについて規定があります。
民法第202条第1項
「占有の訴えは本権の訴えを妨げず、また、本権の訴えは占有の訴えを妨げない」
占有の訴えと本権の訴えは別個独立のもの。
つまり、占有の訴えをしてもいいし、本権の訴えをしてもいい、両方してもいい。ということです。
例えば、AがBに本を盗まれた場合、
Aが占有していた本を盗まれているので、占有回収の訴えを提起してもよい。
Aがその本の所有者であれば、所有権に基づく返還請求(本権の訴え)をしてもよい。
その両方を同時に提起してもよいということです。
民法第202条第2項
「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない」
占有の訴えに対して防御方法として本権の主張することはできません。
例えば、「私から盗み取った本を返せ」という訴え(占有回収の訴え)の中で被告が「私には所有権があるから」という理由を主張できません。
もっとも、同じ訴訟手続き内で被告が原告に対して本権に基づく反訴を提起することは可能です。
大野