共同正犯とは2人以上共同で特定の犯罪を実現することを言います(刑法60条)。

これは例えば2人で特定の家に侵入し窃盗を働くような場合です。

これは2人で窃盗という行為をするという認識のもと行為に出ているという点はお分かりになるかと思います。

つまり故意が二人ともあるわけです。

そこで故意がないのに共同正犯は成立するのかという問題があります。

具体的には過失による共同正犯は成立するかということが問題にあります。

過失とはうっかりです。うっかり2人以上で犯罪を起こすなんてことあるのでしょうか。

例えば、ある崖の上から2人で岩を捨てたとします。2人とも下に人がいるとは思っていないわけです。しかし人がいたようなケースです。

共同正犯が成立するためには①共同実行の事実と②共同実行の意思が必要です。

これが過失でも成立するかを検討しますと、まず①は2人で客観的な注意義務違反をしたという事実は考えられるので成立します。もっとも過失犯はその処罰の例外(38条1項但し書き)を考慮し共同実行の事実が認められるのは共犯者各人に注意義務が課せられ、それに共同して違反する場合に限られるとします。

そして、②については共同の注意義務の共同違反が①共同実行の事実と解することに対応し、不注意な行為を共同しあう心情で足りると考えます。

そこで過失犯の場合も①共同実行の事実と②共同実行の意思を認めることができ、過失の共同正犯は成立すると考えます。

行政書士 西本