債権の消滅時効が完成した場合、時効が完成したということを債権者に通知する行為を援用と言います。
時効制度はこの援用という行為をしなければ時効の主張をすることができません。
また債務があるということを認める行為を承認と言います。この承認という行為を行うと積み上げられた消滅時効までの期間がいったん振出しに戻るという制度がこの承認です。
債権の消滅時効は民法166条1項1号2号により、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、権利を行使することができる時から10年間行使しないときと定められています。
この3つのお話が混在する論点としまして、債務者が時効完成(例えば10年の消滅時効)しているのにそれを知らずに承認してしまい、後から時効の存在を知ってから、やはり消滅時効であると援用することは許されるのかというものがあります。理論的には時効は完成しているのですから、援用はできそうです。しかし、やっぱりやめたみたいな話ですので、不公平な感じもします。
この点判例は信義則上(民法1条2項)許されないとしています。やはり不公平だということですね。
行政書士 西本