前回に引き続き、絶対効と相対効についてであるが、本稿では相殺を扱う。総裁は旧法でも絶対効であった。ただその効力は少し改正による影響がある。

旧法では、例えば3人(A,B,C)の連帯債務者がいて甲が債権者とする。甲は三人に300万の債権を有している、この時Aは甲に対し反対債権100万を持っているという場合を想定する。

Aは100万の債権があるのにこれを行使しない場合、それを行使してくれたらBCは自分たちの債務が100万減るので是非とも行使してほしい。しかしAはこれを行使しない。BCはAの債権100万を援用と言う形で代わりに行使できるとした。

新法では代わりに行使は出来ず、ただ甲からBCが請求されたら、Aの持つ債権100万の限度でBCは甲からの300万の請求を受けたら拒むことができるとした。

結果は旧、新あまり変わらないように思える。しかし、他人の債権を行使できるということはプライバシー権侵害、個人の尊重と言う点からあまり好ましくはない。そこで履行を拒否できるとする防御で使用するといった形になったのである(新439条2項)。

西本