神様の神様はいるのか?――日本人の神観から読み解く「神のはじまり」
「神様を信じていますか?」
そう聞かれると少し答えに困るのに、「神様の神様はいるの?」と聞かれると、さらに不思議な感じがします。
実はこの問い、日本の神社や神話を知ると、とても自然な疑問でもあります。
この記事では、
- 神様の神様は存在するのか
- それを祀っている神社はあるのか
- 一般的に言われる神様と何が違うのか
を、日本の神話・神社文化の視点から解説します。
結論から言うと「神様の神様」は存在する
結論から言えば、日本神話の中では
「神様を生み出した存在」や「すべての神の源」とされる神々は存在します。
ただし、西洋宗教のように
「唯一絶対の創造神がすべてを支配している」
という考え方とは少し異なります。
日本の神様は、**上下関係よりも“系譜”や“役割”**で語られることが多いのです。
日本神話における「神様の神様」
① 最初に現れた神 ― 造化三神(ぞうかさんしん)
『古事記』『日本書紀』によると、世界のはじまりに最初に現れた神々がいます。
それが、
- 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
- 高御産巣日神(たかみむすひのかみ)
- 神産巣日神(かみむすひのかみ)
この三柱を 造化三神 と呼びます。
彼らは、
- 男女の姿を持たない
- 子孫を直接生まない
- 人前にほとんど現れない
という、非常に抽象的で根源的な神です。
👉 「神様を生み出す“仕組み”そのもの」
👉 「宇宙原理・生成の力」
に近い存在と考えられています。
② 有名な神々を生んだ神 ― 伊邪那岐命・伊邪那美命
多くの人が知っている
- 天照大神
- 月読命
- 須佐之男命
これらの神々を生んだのが、
- 伊邪那岐命(いざなぎのみこと)
- 伊邪那美命(いざなみのみこと)
です。
この二柱は、
- 国(日本列島)を生み
- 自然神・人格神を生み
- 神々の「親」にあたる存在
という意味で、神様の神様的な立場にあります。
神様の神様を祀っている神社はあるのか?
造化三神を祀る神社
造化三神は非常に抽象的な存在のため、主祭神として祀られる神社は多くありませんが、代表的な例はあります。
- 水天宮(東京・久留米など)
天之御中主神を祀る神社として知られています。 - 一部の神明系・古社
配祀神として造化三神を祀ることがあります。
ただし、「ご利益が分かりやすい神社」というより、
信仰や思想の根源に近い神社という性格が強いです。
伊邪那岐・伊邪那美を祀る神社
こちらは比較的多く存在します。
- 伊弉諾神宮(兵庫県・淡路島)
国生み神話の中心地とされる神社。 - 全国の「○○神社」でも配祀されることが多い
縁結び・夫婦円満・生命力などのご利益として信仰されています。
一般的に言われる「神様」との違い
① 役割が違う
一般的な神様(天照大神、八幡神、稲荷神など)は、
- 太陽
- 戦
- 五穀豊穣
- 商売繁盛
といった 具体的な役割・ご利益を持っています。
一方、神様の神様は、
- 世界が生まれる仕組み
- 生命が生まれる原理
- 秩序や生成そのもの
という、人間の生活から一段抽象度が高い存在です。
② 信仰の距離が違う
一般の神様
→ 願い事をする・祈る・感謝する対象
神様の神様
→ 世界観・思想・畏敬の対象
「お願いする」というより、
**“在ることそのものを感じる存在”**に近いと言えます。
③ 上下関係ではなく「重なり合う存在」
日本の神々は、
- 上司と部下
- 支配と被支配
という関係ではありません。
自然・人・神が
重なり合い、連なって存在している
という感覚が根底にあります。
そのため「神様の神様」という言葉も、
西洋的なピラミッド構造とは異なる理解が必要です。
なぜ日本では「神様の神様」があまり語られないのか
理由はシンプルです。
- 実生活で拝む必要があまりない
- ご利益が具体化しにくい
- 抽象的で説明が難しい
その代わり、日本人は、
- 目の前の自然
- 身近な神様
- 行事や習慣
を通じて、無意識のうちに“神の根源”に触れているとも言えます。
まとめ|神様の神様とは「世界のはじまりの考え方」
- 神様の神様は存在する
- それは「人格神」というより「原理・源」に近い
- 神社も存在するが、非常に静かで象徴的
- 一般的な神様とは役割・距離感が違う
日本の神話は、「誰が一番偉いか」ではなく、
**「どうやって世界が成り立っているか」**を語る物語です。
神社に参拝するとき、
「この神様のさらに奥には、何があるのだろう」
そんな視点を持つと、見える景色が少し変わるかもしれません。
大野