作詞・作曲・編曲にかかる 著作権譲渡契約書 作成のポイント5選
音楽制作の現場では、
「誰が作詞したのか」
「誰が作曲したのか」
「編曲は著作物なのか」
そして
「著作権は誰のものなのか」
が曖昧なまま進んでしまうことが少なくない。
しかし、この“曖昧さ”は、
後になって 印税・二次利用・配信・炎上 という形で必ず噴き出す。
作詞・作曲・編曲に関わる場合、
著作権譲渡契約書は必須。
しかも、一般的な雛形では足りない。
ポイント①
「何の著作権を譲渡するのか」を分解して書く
まず最初の落とし穴。
音楽は1つに見えて、
法律上は複数の著作物に分かれる。
作詞 → 言語の著作物
作曲 → 音楽の著作物
編曲 → 二次的著作物(原則)
契約書では必ず👇を明確にする。
作詞部分の著作権
作曲部分の著作権
編曲部分の著作権
共同著作か単独著作か
❌「本楽曲の著作権一切」
→ トラブルの元。
“どの創作行為の権利か”を分解して特定するのが鉄則。
ポイント②
著作権譲渡でも「著作者人格権」は別物
ここは必ず書くべき超重要ポイント。
日本法では、
著作者人格権は譲渡できない。
そのため、譲渡契約では👇を必ず規定する。
著作者人格権を行使しない
氏名表示の扱い
改変・編集・翻案への同意
条文例(要旨)👇
著作者は、本契約に基づく利用に関し、
著作者人格権を行使しないものとする。
これがないと👇
歌詞を変えたらクレーム
編曲を変えたら訴え
商用利用で揉める
譲渡したつもりでも自由に使えないという事態になる。
ポイント③
利用範囲を「無限定」にするか「限定」するか
著作権譲渡といっても、
すべて無制限にする必要はない。
実務では次を決める。
商用利用の可否
配信・CD・映像利用
広告・CM使用
二次利用(ゲーム・映画・VTuberなど)
海外利用
✔ 完全譲渡型
→ すべてOK(報酬高め)
✔ 限定譲渡型
→ 使用目的を限定(報酬抑えめ)
どちらにするかを曖昧にすると、
後から「それは聞いてない」問題が必ず起きる。
ポイント④
報酬と印税の関係を明確にする
音楽契約で一番揉めるのがここ。
必ず整理する👇
譲渡対価は一括か
印税は発生するか
JASRAC等の著作権管理は誰が行うか
原盤権との関係
よくある危険パターン👇
❌「報酬を支払う。詳細は別途協議」
→ 地雷。
実務では👇のどちらかに振り切る。
完全買い切り(印税なし)
譲渡+印税支払あり
中途半端が一番危ない。
ポイント⑤
編曲の扱いを軽視しない
編曲は軽く見られがちだが、
条件次第で 著作権が発生する。
そのため👇を必ず決める。
編曲成果物の権利帰属
二次的著作物の扱い
原曲権利者との関係
将来の再編曲・改変の可否
特に👇は必須。
編曲により生じる著作権は、
本契約に基づき◯◯に帰属する。
これを書かないと、
編曲者が権利を主張して使用できなくなることがある。
まとめ
音楽の著作権契約は「感覚」ではなく「設計」
音楽制作は感性の世界。
しかし、
権利処理は完全に法律の世界だ。
作った
依頼された
お金を払った
それだけでは、
著作権は動かない。
作詞・作曲・編曲に関わるなら、
最初に契約書で線を引くことが、
クリエイターも依頼者も守る。
それが、
長く使われる楽曲を生むための最低条件だ。
南本町行政書士事務所 代表 特定行政書士 西本