フリーランスになるときの“危ない契約書”とは?|行政書士事務所が解説するリスク回避法
フリーランスとして仕事を始める際、最も重要なのは「契約書」です。
しかし、経験の浅いフリーランスは、契約書の内容を十分に理解せずに署名してしまうことが少なくありません。その結果、報酬未払い・責任の押し付け・権利侵害などトラブルに発展するケースがあります。
この記事では、フリーランスになるときに注意すべき契約書の危険サインと、リスクを避けるためのチェックポイントを行政書士の視点から解説します。
目次
1. フリーランス契約でトラブルが多い理由
フリーランスは、企業と個人の間で契約を結ぶため、以下のような事情でトラブルが発生しやすいです。
- 書面がない口約束で始めてしまう
- 契約内容が不明確・曖昧
- 報酬や納期、権利関係の取り決めがない
- 契約書が長く複雑で、理解せずに署名してしまう
特に年末・年度末や案件が急増する時期は、契約書チェックが雑になりやすく、後で大きな損害につながることがあります。
2. “危ない契約書”の特徴
フリーランス契約で注意すべき「危ない契約書」の例は以下の通りです。
① 報酬や支払い条件が不明確
- 「報酬は案件終了後に相談」など曖昧
- 支払日・支払い方法・遅延時のペナルティが書かれていない
リスク:支払いが遅れる、未払いになる可能性がある
② 納期・業務範囲が不明瞭
- 「必要な作業は随時依頼」など幅が広すぎる
- 修正回数や追加作業の範囲が未記載
リスク:無限に作業を要求される/トラブルに発展
③ 権利関係が曖昧
- 著作権・成果物の利用権が明確でない
- 二次使用や他社利用の範囲が不明瞭
リスク:自分の作品が勝手に使われる/報酬を得られない
④ 契約解除・損害賠償が一方的
- 「違約金は全額負担」などフリーランスに不利
- 契約解除条件が企業側に有利すぎる
リスク:解除されても報酬がもらえない、損害賠償を請求される可能性
⑤ 秘密保持・競業避止が過剰
- 期間・範囲が不明確な秘密保持義務
- 競業避止条項で別案件ができない
リスク:フリーランスとしての活動が制限される
3. 契約書チェックの必須ポイント
フリーランス契約書を確認するときは、以下のポイントを必ず押さえましょう。
- 報酬と支払い条件
- 金額、支払い方法、支払日、遅延時対応
- 業務範囲・納期
- 作業内容・修正回数・納品形式・期限
- 権利関係
- 著作権の帰属、使用範囲、再利用権の有無
- 契約解除・損害賠償
- 双方の解除条件、違約金、損害賠償の範囲
- 守秘義務・競業避止
- 期間・対象範囲の明確化
- 紛争解決方法
- 管轄裁判所、調停・仲裁の有無
4. 契約前にできるリスク回避の方法
- 契約書は必ず書面で
- 口頭契約だけで始めない
- 不明点は必ず質問・確認
- 曖昧な条項は修正依頼
- 行政書士・専門家にチェックしてもらう
- 特に初契約や高額案件は相談が安心
- 契約書の控えを必ず保管
- 紙・PDFどちらも保管
5. まとめ
フリーランスとして安全に仕事をするためには、契約書の内容を理解し、自分に不利な条項を避けることが最も重要です。
危ない契約書は「曖昧」「一方的」「権利・義務が不明確」なもの。
契約前に確認・修正・専門家相談を行えば、トラブルを未然に防ぎ、安心して仕事を進められます。
💡 ワンポイントアドバイス
フリーランスは「自分の権利とリスクを守るプロ」です。
契約書はただの形式ではなく、自分の生活と報酬を守る道具として扱いましょう。
大野