マーケティングサービス契約書作成の注意点

SNS運用、広告出稿、SEO対策、インフルエンサー施策など──

現代の企業活動に欠かせない「マーケティング業務」。

しかし、その多くは外部のコンサルタントや代理店、個人フリーランスへの業務委託契約という形で行われています。

華やかな業務に見えて、実はトラブルも多いのがこの分野。

「思った成果が出なかった」「投稿内容で炎上した」「料金トラブルに発展した」など、契約内容が曖昧なまま進めてしまうと、後で大きな問題になりかねません。

ここでは、マーケティングサービス契約書を作成する際に特に注意すべき5つのポイントを解説します。

1. 成果物の定義を明確にする

マーケティング業務では、「何をもって成果とするか」が曖昧になりがちです。

SNSのフォロワー数やアクセス数を成果とするのか

投稿やデザインそのものを成果物とするのか

成果の有無に関係なく、作業報酬を支払うのか

これらを事前に明記しておくことで、「期待していたのと違う」といった紛争を防げます。

2. 責任の範囲を明示する

マーケティング業務では、外部要因によって成果が左右されることがあります。

例えば、SNSアルゴリズムの変更や顧客行動の変化など、受託者がコントロールできない部分も多いのです。

したがって契約書には、

受託者が負う責任は「誠実な業務遂行」に限る

成果保証ではない旨を明記する

といった条項を盛り込み、責任の範囲を限定することが大切です。ただし、このように書けば、静かは保証しなくてもよい、という意味ではありませんので注意が必要です。

3. データ・知的財産の帰属

SNSの投稿原稿、画像素材、広告クリエイティブなど、マーケティング業務では知的財産が多く発生します。

著作権の帰属を明確にしておかないと、後に「使用できない」「再利用できない」といったトラブルに発展します。

納品物の著作権は委託者に譲渡するとするのか受託者に残るのかを決める必要があります。

4. 秘密保持と顧客情報の扱い

マーケティングでは、顧客情報・販売戦略・広告データなどの機密情報を扱います。

そのため、契約書には必ず秘密保持条項(NDA)を設けましょう。

特に最近は個人情報保護法や景品表示法などの規制も厳格化しており、

「受託者の過失により情報漏洩があった場合の損害賠償」まで明記しておくと安全です。

5. 契約期間と解除条件

マーケティング契約は「継続型」が多いため、解約条件の定義が非常に重要です。

解約の際の通知期間(例:30日前)

契約期間満了後の自動更新の有無

成果物の引渡しやデータ返却義務

これらを決めておかないと、「辞めたいのに契約が切れない」「データがもらえない」といった問題が発生します。

まとめ

マーケティング契約は、外から見れば「柔らかい業務」ですが、中身は法的・経済的リスクの塊です。

成果物の定義

責任の範囲

知的財産の帰属

秘密保持と情報管理

契約期間と解除条件

この5点を明確にすれば、信頼関係のある健全な契約関係が築けます。

ビジネスのスピードが速い今こそ、「契約書で守る」という一手を怠らないことが、あなたの事業を長く続けるための最大の防御です。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本

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