刑事事件において「公訴時効」は、犯罪が行われてから一定期間が経過すると、検察官が裁判を起こせなくなる制度です。しかし、重大な犯罪である殺人罪についてはどうでしょうか。今回は、殺人罪の公訴時効の有無やその変遷について解説します。
目次
1. 殺人罪の公訴時効は現在どうなっているか
結論から言うと、現行法では殺人罪には公訴時効がありません。つまり、犯人がどれだけ長く逃げ続けても、検察はいつでも起訴することができます。
以前は刑事訴訟法により、殺人罪も公訴時効の対象でしたが、重大犯罪としての性格を考慮し、時効は廃止されました。
2. 時効廃止の経緯
刑事訴訟法の改正によって殺人罪の時効は段階的に廃止されました。
- 2005年(平成17年)改正前
殺人罪の公訴時効は15年でした(殺人罪の刑期は死刑・無期懲役・有期懲役であったが、時効は15年)。 - 2005年の刑法改正(施行:2005年12月)
殺人罪に限り、公訴時効が廃止されました。
つまり、2005年12月以降に発生した殺人事件は、時効の制限なしに起訴が可能です。
3. 改正前の犯罪はどうなるのか
では、2005年12月より前に発生した殺人事件はどうなるのでしょうか。
- 原則として、改正前に犯罪が発生していても、当時の法律に従い時効が完成していなければ起訴可能です。
- つまり、例えば1995年に起きた殺人事件でも、2025年時点で時効が完成していなければ検察は起訴できます。
- 2005年改正以降は時効が廃止されているため、過去の未時効事件も引き続き起訴可能となります。
4. なぜ殺人罪の時効は廃止されたのか
主な理由は以下の通りです。
- 犯罪の重大性
命を奪う犯罪は、他の犯罪よりも社会的影響が大きく、時間の経過で軽視されるべきではないと考えられたため。 - 科学捜査の進歩
DNA鑑定や指紋照合などで、時間が経過しても犯人特定が可能になったこと。 - 被害者・遺族の権利保護
時効があることで、被害者家族が正義を得られない可能性を減らすため。
5. まとめ
- 現行法では、殺人罪に公訴時効はありません。
- 2005年12月施行の刑法改正により廃止されました。
- 改正前の犯罪も、当時の時効が完成していなければ起訴可能です。
- 殺人罪は重大犯罪であるため、時効の制限なくいつでも法の裁きを受けることになります。
殺人事件は非常に重大で社会的影響も大きいため、時効の有無を含め、常に法律の動向を押さえておくことが重要です。
大野