借りたお金は「LINEのやりとり」だけでも証拠になる?

お金の貸し借りをする際に、借用書や契約書を作らずに済ませてしまうケースは少なくありません。友人や知人との間では「LINEでやりとりしたから大丈夫」と思っている方もいるでしょう。
では、LINEのやりとりだけでお金の貸し借りを証明できるのでしょうか?

目次

LINEは証拠になるのか

結論から言えば、LINEのやりとりも証拠として利用することは可能です。
裁判や調停では、メールやSNSのメッセージも「電子的記録」として提出できます。

ただし、証拠能力はあっても「そのやりとりだけで十分かどうか」は別問題です。

証拠として有効になるケース

LINEのやりとりが証拠として強く働くのは、次のようなケースです。

  • 「○月○日に○円を借りました。来月末までに返します」と借主本人が明確に書いている
  • 貸した側が「10万円振り込んだから返してね」と送信し、借主が「ありがとう。必ず返す」と返信している
  • 返済期限や返済方法について具体的に合意している

つまり、借金の存在・金額・返済の合意が客観的に読み取れる内容であれば、裁判でも十分活用できます。

弱い証拠になってしまうケース

一方で、次のようなやりとりは証拠としては弱いとされます。

  • 「お金助かった!」など、借金の趣旨が明確でない
  • 金額が曖昧で「また今度返すね」程度しか書いていない
  • 返済期限や条件に触れていない
  • 借主がやりとりを否認して「自分は送っていない」と争う場合

このような場合、LINEだけでは借金を立証するのが難しくなる可能性があります。

実際の裁判例

実務上も、LINEやメールのやりとりが証拠として採用されたケースは増えています。
ただし、裁判所は総合的に判断するため、LINEの画面キャプチャだけでは弱く、銀行の振込記録や借主の供述と合わせて認定されることが多いです。

トラブルを防ぐためのポイント

お金の貸し借りでは、トラブルを未然に防ぐことが何より大切です。

  • 借用書や金銭消費貸借契約書を作成する
  • 少なくとも振込や送金履歴を残す
  • LINEのやりとりは削除されないよう保存しておく
  • 可能なら署名や印鑑をもらう

特に高額の場合は、「口約束+LINE」だけではリスクが大きいことを意識しましょう。

まとめ

  • LINEのやりとりも証拠としては利用可能
  • ただし、金額や返済条件が明確でなければ弱い証拠にとどまる
  • 裁判所はLINEだけでなく振込記録などを総合的に判断する
  • トラブル防止には借用書作成が最も確実

「友達だから大丈夫」「LINEが残っているから安心」と思っていても、いざというときに立証が不十分になり、回収できなくなるケースは少なくありません。
お金の貸し借りは必ず書面化+証拠の確保を心がけることが安心につながります。

大野

目次