公正証書遺言の原本はいつまで保管されるのか?

公正証書遺言の原本の保管について、170歳 or 140年間ってことを聞いたけど本当なの?

◆ 結論から言うと…

はい、本当です。

公正証書遺言の「原本」は、公証役場(法務省所管の公証人制度)において、
遺言者の死亡後50年後、遺言者が170歳になるまで、または作成日から140年間は、無料で保管されます(公証人法施行規則)。

これは、公正証書遺言の信頼性と安全性を支える仕組みであり、遺言者・相続人の双方にとって大きなメリットです。

目次

■ 制度の根拠:法務省と日本公証人連合会による規定

この保管制度は、以下の文書・通達に基づいています:

  • 日本公証人連合会の規定
  • 電子公証制度の運用方針
  • 公正証書遺言の保管に関する内部規程

特に近年では、「電子公証制度(e公証)」との連携もあり、データとしてのバックアップも進んでいます。

▼ 保管期間の規定内容

  • 遺言者が170歳になるまで(例:50歳で作成した場合 → 残り120年)
  • または、
  • 作成日から140年間

いずれか早い方まで、公正証書の**原本(オリジナル文書)**は公証役場で無料保管されます。

■ そもそも「公正証書遺言」とは?

公正証書遺言とは、公証役場で公証人の立ち会いのもと作成される、法的に最も安全・確実な遺言書のことです。

民法第969条(公正証書遺言)
公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が公証人に口授し、公証人が筆記して作成する。

■ 保管される「原本」・「正本」・「謄本」の違い

書類内容保管場所
原本本物。公証人が作成した唯一の正式文書公証役場で保管(本人でも閲覧不可)
正本原本の写し。相続手続きで使用遺言者または相続人が持つ
謄本コピー。内容確認用など必要に応じて発行される

■ 公正証書遺言の保管が「無料」って本当?

はい、原本の保管は完全に無料です。

作成時の費用はかかりますが、その後の保管料・更新料などは一切不要です。

これは、民間の保管サービス(例:自筆証書遺言の有料保管制度)と比べても非常にメリットが大きいポイントです。

■ 公正証書遺言が選ばれる理由:保管制度以外にも安心材料が豊富

  1. 無効になりにくい(形式ミスがない)
  2. 家庭裁判所の検認不要
  3. 保管が万全(原本が残る)
  4. 災害・火災・紛失のリスクなし
  5. 相続人が後で内容確認できる(死後照会制度あり)

■ 公正証書遺言をおすすめしたい人

  • 財産を巡るトラブルを絶対に避けたい
  • 相続人が複数いて意見が割れそう
  • 会社や不動産など大きな財産がある
  • 再婚・養子縁組・内縁関係など家族関係が複雑
  • 自筆証書遺言だと不安な方

■ まとめ:170歳 or 140年。公正証書遺言の安心は“超長期保管”にあり!

遺言は、書いただけでは意味がありません。
「死後に確実に見つかり、確実に効力を持つ」ことが重要です。

その点、公正証書遺言は

  • 原本を140年保管
  • 国家資格者である公証人が作成
  • 法的な安全性も最高レベル

という、まさに“安心を形にした遺言”だといえるでしょう。

遺言書にご関心がある方は、遺言書の作成ページもご覧ください。

大野

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