本件は、債務不履行に基づく損害賠償請求、つまり、契約違反を故意(責に帰すべき事由)で犯してしまい、契約相手に生じた損害を賠償しなければならないという場面のお話であります。
この損害賠償という請求は、いったいどういう損害が、金銭に見積もるとどれくらいになっているかを証明していくことになるのですが、それは当事者のうちいずれが行うかという論点を含んでおります。
債務不履行という法規の法的性質は、契約を締結したんだから、履行するのは当然であるという考えが背景にあります。
そうなりますと、契約不履行があってさらに損害も生じたとしたら、賠償請求をする側は、ただただ損害が出たじゃないかというだけで事足りることになります。なぜなら、契約は履行するのが当たり前ですので、不履行は例外ということになります。例外なのであれば、例外を引き起こした方が、「いやいや、私は悪くないのですよ」ということを立証することを要求した方がフェアということになるからです。
よって、立証責任はこの場合、不履行を引き起こした方ということになります。
ただ何を立証するかといいますと、損害が生じた方が賠償請求してきている場面ですので、これを跳ね返す立証である、「私は悪くない」という立証をすることができれば、債務不履行とならず(つまり責に帰すべき事由がないということになる)、賠償責任を負わないということになります。
南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本