比例配分方式(ドント方式)とは?― なぜ「得票数がそのまま議席数」にならないのか ―
選挙のニュースでよく耳にする
「比例代表」「ドント方式」
ですが、
- 名前は聞いたことがある
- でも実際にどうやって議席が決まっているのかはよく分からない
という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、**比例配分方式(ドント方式)**について、
- そもそも何を目的とした制度なのか
- 実際にどんな計算で議席が決まるのか
- なぜ「得票率=議席率」にならないことがあるのか
を、具体例を使ってわかりやすく解説します。
目次
比例配分方式とは何か
比例配分方式とは、簡単に言うと、
各政党の得票数に「比例」して議席を配分しようとする仕組み
です。
小選挙区制のように
「1位の人(政党)だけが当選する」
という方式ではなく、
- 多くの票を集めた政党ほど
- 多くの議席を持つ
ことを目指しています。
この比例配分を行うための計算方法の一つが、ドント方式です。
ドント方式とは?
ドント方式は、割り算を繰り返して順位をつける方式です。
ポイントは次の2つだけです。
- 各政党の得票数を
1、2、3、4…と順番に割っていく - その結果の「大きい数字」から順に議席を割り当てる
文字だけだと分かりにくいので、具体例で見てみましょう。
【具体例】3政党・5議席の場合
前提条件
- 議席数:5議席
- 得票数
- A党:10,000票
- B党:6,000票
- C党:4,000票
① 得票数を順番に割る
| 政党 | ÷1 | ÷2 | ÷3 | ÷4 | ÷5 |
|---|---|---|---|---|---|
| A党 | 10,000 | 5,000 | 3,333 | 2,500 | 2,000 |
| B党 | 6,000 | 3,000 | 2,000 | 1,500 | 1,200 |
| C党 | 4,000 | 2,000 | 1,333 | 1,000 | 800 |
② 数字を大きい順に並べる
上の表の数字を、政党関係なく大きい順に並べます。
- 10,000(A党 ÷1)
- 6,000(B党 ÷1)
- 5,000(A党 ÷2)
- 4,000(C党 ÷1)
- 3,333(A党 ÷3)
※ ここで 5位まで を採用(議席が5つだから)
③ 議席の配分結果
- A党:3議席
- B党:1議席
- C党:1議席
となります。
得票率と議席率を比べてみる
ここで、少し冷静に数字を見てみましょう。
得票率
- A党:50%
- B党:30%
- C党:20%
議席率(5議席中)
- A党:60%
- B党:20%
- C党:20%
A党は得票率よりやや有利になり、
B党はやや不利になっています。
これはドント方式の特徴です。
なぜドント方式は「大政党がやや有利」なのか
ドント方式は、
- 小数点以下の議席は持てない
- 議席は整数でしか配分できない
という現実的な制約の中で、
「できるだけ安定した政権構成にしやすい」
ように設計されています。
その結果、
- 得票数が多い政党は
割り算をしても上位に残りやすい - 小規模政党は
最後の1議席を取りにくい
という傾向が生まれます。
「完全な比例」ではないものの、
極端な乱立や不安定化を避けるための妥協点
とも言えます。
ドント方式のメリット・デメリット
メリット
- 計算ルールが比較的シンプル
- 得票数が多い政党が一定の安定性を持てる
- 極端な少数政党乱立を防ぎやすい
デメリット
- 小規模政党が不利になりやすい
- 得票率と議席率が完全には一致しない
- 「死票が減る」と言い切れない場合もある
まとめ:ドント方式は「完全な公平」ではなく「現実的な比例」
比例配分方式(ドント方式)は、
- 票の多さを議席に反映させつつ
- 政治の安定性も考慮した
現実的な調整型の制度です。
「比例=完全に平等」ではなく、
「比例を目指しながら、制度として成り立たせる工夫」
が詰まっていると考えると、理解しやすくなります。
選挙結果を見るとき、
「なぜこの議席配分になったのか?」
を考える視点として、ぜひドント方式を思い出してみてください。
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大野