「私は何も言っていない」という言い訳は通用するのか― 行動が語る“事実”について考える ―
「そんなつもりで言ったわけじゃない」
「私は直接そう言っていない」
「誤解されただけだ」
トラブルや指摘を受けたとき、こうした言葉を口にする人は少なくありません。
確かに、言葉として明確に言っていないのであれば、「言っていない」という主張自体は事実かもしれません。
しかし問題は、
行動が、それを言っているのと同じ意味を持ってしまっている場合
です。
言葉は否定できても、行動は否定できない
人は往々にして、言葉に責任があると思いがちです。
一方で、行動については「そこまでの意味はなかった」「深く考えていなかった」と軽く扱われがちです。
ですが、受け手側から見れば、
- その態度を取った
- その対応をした
- その選択をした
という事実の積み重ねが、相手の評価や判断材料になります。
たとえば、
- 無言で距離を取る
- 連絡を返さない
- 特定の人だけ明らかに扱いを変える
これらは言葉にしていなくても、
「拒否」「軽視」「関係を断ちたい」というメッセージとして十分に伝わってしまいます。
「言っていない」は免罪符にならない
「私は何も言っていない」という言い訳は、
自分の中では通用しても、他人との関係では通用しません。
なぜなら、コミュニケーションは
- 発信した内容
ではなく - 相手がどう受け取ったか
で成立するものだからです。
特に社会や仕事の場では、
行動=意思表示
と評価されます。
言葉を使わずに行動で示した以上、
「言っていないから責任はない」という主張は、
責任回避にしか見えないことも多いのが現実です。
言い訳が信頼を壊す瞬間
本当に信頼を損なうのは、行動そのものよりも、
指摘された後の態度であることが多いです。
- 行動の影響を認めない
- 相手の受け取り方を否定する
- 言葉尻だけを盾にする
こうした対応は、
「この人は自分の行動に向き合わない人だ」
という評価につながります。
逆に、
- そう受け取られる行動だったことを認める
- 意図と結果のズレを説明する
- 必要であれば謝罪する
こうした姿勢があれば、関係は修復可能です。
本当に問われているのは「言ったか」ではない
結局のところ、問題の本質はここです。
何を言ったか、ではなく
何を伝えてしまったか
行動で示したメッセージは、
言葉よりも強く、長く残ります。
「言っていない」という事実にしがみつくより、
「そう受け取られる行動だったかもしれない」と一度立ち止まること。
それが、大人のコミュニケーションであり、信頼を守る唯一の方法ではないでしょうか。
大野