遺言書を専門家がチェックすると、どこを見ているのか―「形式」だけでなく「使えるか」まで確認しています―
「一応、要件は満たしていると思う」
「でも、本当にこれで大丈夫なのか自信がない」
遺言書の相談で、最も多いのがこの声です。
専門家にチェックを依頼するとき、多くの方が
**「誤字脱字を見るだけでは?」**とイメージされがちですが、
実際に見ているポイントはそれだけではありません。
専門家が見るポイント①
法律上“無効にならないか”という形式チェック
まず最初に確認するのは、形式的な有効性です。
自筆証書遺言の場合、特に次の点を重点的に見ます。
- 本文・日付・氏名がすべて自書されているか
- 日付が特定可能な形になっているか
- 押印が適切にされているか
- 財産目録の形式が適法か
ここは「アウトかセーフか」がはっきり分かれる部分で、
一つでも欠けると遺言書全体が無効になる可能性があります。
専門家が見るポイント②
「この遺言は実際に執行できるか」
形式が整っていても、実務上使えない遺言は少なくありません。
例えば、
- 不動産の表示が曖昧で登記できない
- 金融機関が手続きを受け付けない表現
- 誰が何を相続するのか一義的に決まらない
専門家は、
「この遺言書を持って、相続手続きが進むか」
という視点でチェックします。
専門家が見るポイント③
将来“争われる可能性”がある箇所
専門家が特に敏感に反応するのが、後で揉めやすい表現や構成です。
- 特定の相続人に偏った内容
- 遺留分に触れていない
- 感情的な文言が多い
- 家族関係の背景が反映されていない
これらは、
「形式的には有効だが、訴訟の火種になる」
典型例です。
専門家が見るポイント④
遺言能力を疑われないか
遺言書が争われる際、
形式以上に問題になるのが遺言能力です。
チェック時には、
- 作成時期と本人の健康状態
- 文面の一貫性
- 突然内容が大きく変わっていないか
などから、
「この遺言が作成時に本当に本人の意思だったか」
を客観的に見ます。
専門家が見るポイント⑤
遺言書が“最後のもの”として成立するか
複数の遺言書が存在する場合、
- 日付の前後関係
- 内容の抵触部分
- 撤回と解釈される表現
を慎重に確認します。
「新しい遺言を書いたつもりが、
実は古い遺言が生きてしまう」
というケースも実務では珍しくありません。
専門家が見るポイント⑥
保管・発見・執行までを含めた全体設計
専門家は、遺言書を
**“書類単体”ではなく“相続手続きの一部”**として見ています。
- どこに保管されるのか
- 誰が発見するのか
- 検認が必要か
- 公正証書にすべきか
ここまで含めて確認することで、
「書いたけど使われない」リスクを下げます。
専門家チェックの本当の価値
専門家が遺言書をチェックする目的は、
無効を防ぐこと
争いを防ぐこと
確実に実行されること
この3点に集約されます。
「自分で書いた遺言+専門家チェック」は現実的な選択肢
すべてを丸投げしなくても、
- 自分で考えた内容を
- 専門家の視点で補正する
という方法は、
費用と安心のバランスが取れた選択です。
まとめ
遺言書を専門家がチェックするときに見ているのは、
- 法的に有効か
- 実務上使えるか
- 将来争われないか
- 最後まで機能するか
という「全体像」です。
「大丈夫だと思う」から
「大丈夫と言える」に変えるために、
専門家チェックという選択肢があります。
大野