AIでの契約書作成のコツ——法的精度を高めるために

ChatGPTなどの生成AIを使って契約書を作成する人が増えています。

数分でひな形を出力し、業種に合わせて条項を調整できる——まさに便利な時代です。

しかし一方で、「AI

が作った契約書をそのまま使っていいのか?」という疑問も多く寄せられています。

AIで契約書を作成する際には、コツと注意点を押さえることが何より重要です。

1. まずは“目的”を明確にする

AIに「契約書を作って」と頼む前に、どんな目的の契約なのかを具体的に伝えることが大切です。

たとえば、

委託契約なのか、請負契約なのか

継続取引か、単発か

個人間か、法人間か

この前提を曖昧にしたままAIに指示すると、形式上は整っていても「使えない契約書」が出てきてしまいます。

2. AIは“雛形の生成”に使う

AIが得意なのは、ベースとなる条文構成の提案です。

逆に不得意なのは、「当事者間の細かな実務的リスクの調整」。

つまりAIの契約書は、“スタート地点”として使うのが正解。

作成後は必ず専門家の目で内容を検証し、自社の実情に合わせて修正することが必要です。

3. 条項ごとの法的根拠を理解する

AIは言葉をつなぐのは得意ですが、その裏付けとなる法律条文を自動で示すわけではありません。

たとえば、

契約不適合責任の条項は民法第562条以下

秘密保持義務は信義則(民法第1条2項)や不正競争防止法

損害賠償の範囲は民法第416条

このように、出力された内容がどの法律に基づいているのかを理解しておくと、AIの文案を正しく修正できます。

4. 個人情報・守秘情報の取り扱いに注意

AIに実際の契約内容や当事者名を入力する際は注意が必要です。

無料ツールやクラウド型AIに機密情報を入力すると、情報漏洩のリスクがあります。

「個人名・社名・金額・住所」などの特定情報は伏せて入力し、後から自分で補完するようにしましょう。

5. 最後は“人間の判断”で締める

AIの出力は非常に便利ですが、法的責任を負うのは最終的に人間です。

契約当事者の立場、想定リスク、取引実態を踏まえたうえで、「この条文で本当に守れるのか?」を自分の頭で確認すること。

行政書士や弁護士によるリーガルチェックを併用することで、AI生成契約書の“粗”を補い、実務レベルの信頼性を確保できます。

まとめ

AIで契約書を作ることは、もはや珍しいことではありません。

ただし、AIは「便利な筆記具」であって「法的責任者」ではありません。

目的を明確に

雛形作成に活用

法的根拠を確認

情報管理に注意

最後は人間の判断で締める

これらの5つのコツを押さえれば、AIと人間の協働で、より正確で実務的な契約書を生み出すことができます。

南本町行政書士事務所 代表 特定行政書士 西本

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