日本で初めて資格として認められたものとその背景

私たちが「資格」と聞くと、医師や弁護士、教員などさまざまな職業が思い浮かびます。しかし、日本で最初に「資格」として法的に認められたものは何だったのでしょうか?今回は、その歴史的背景とともに解説します。

目次

日本初の資格とは?

日本で初めて法律に基づいて国家資格として認められた職業は、「医師」です。

  • 医師資格の始まり:1874年(明治7年)、明治政府は「医師免許制度」を導入しました。これにより、国家が認めた医師だけが医業に従事できることが明確化されました。
  • 背景:明治維新後、日本は西洋医学を取り入れ、医療水準を向上させる必要がありました。それまでの伝統医学(漢方医など)では、近代化する都市の公衆衛生や戦争傷病者の治療に対応できなかったのです。

つまり、医療の質を担保するために、国家資格として医師を認める必要があったのです。

なぜ資格が必要になったのか?

国家資格が生まれる背景には、社会の安全や信頼を守る必要があります。具体的には次の理由が挙げられます。

  1. 専門知識・技能の証明
    医療のように人の命に関わる仕事では、一定の知識と技術があることを証明する必要があります。
  2. 国民の安全確保
    無資格者が医療行為を行えば、健康被害や死亡事故につながる恐れがあります。国家資格は「この人は安全に医療行為ができる」と国が保証する仕組みです。
  3. 社会的信頼の向上
    医師だけでなく、薬剤師や弁護士なども、資格制度があることで国民からの信頼を得やすくなります。

日本初の資格がもたらした影響

医師資格の導入は、その後の資格制度のモデルになりました。

  • 1883年:弁護士資格(司法試験)
  • 1886年:薬剤師資格
  • 1890年:教員資格

こうして、日本では「国家資格制度」が少しずつ整えられ、現在のように医療・法律・教育・建築など、専門性の高い職業を守る仕組みが確立されていきました。

まとめ

日本で初めて資格として認められたのは「医師」であり、その背景には社会の安全や専門性の担保という重要な理由がありました。
この制度があったからこそ、日本では医療や法律、教育などの専門職が国民から信頼される形で発展してきたのです。

大野

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