ポンジスキームとは——“配当”に隠された詐欺の構造

「投資すれば毎月10%の配当が得られる」

「短期間で確実に儲かる」

そんな甘い誘い文句を聞いたことはありませんか?

それが**ポンジスキーム(Ponzi Scheme)**と呼ばれる詐欺の典型です。

表面上は「投資ビジネス」や「ファンド運用」を装っていますが、実態はまったく異なります。

■ ポンジスキームの仕組み

ポンジスキームとは、

「新たな出資者から集めたお金を、既存の出資者への“配当”として支払うことで、あたかも運用が成功しているように見せかける手口」です。

つまり、実際には運用による利益はほとんどなく、資金の流れが止まれば破綻する構造です。

初期の投資家には“高配当”を支払う

それを見た新規投資家が安心して次々と出資する

一定期間が経つと、資金が回らず崩壊

まるで「お金のバケツリレー」。

最後に残った人たちが損をする——これがポンジスキームの恐ろしさです。

■ 法的にはどのような犯罪になるのか

日本では、ポンジスキームは**出資法違反(無登録営業)や詐欺罪(刑法246条)**に問われるケースが多く見られます。

また、金融商品取引法上の登録を受けずに資金を集めた場合、

「無登録での金融商品取引業」違反として刑事罰の対象にもなります。

裁判例では、運営者だけでなく**資金集めに協力した“紹介者”や“勧誘者”**が処罰されたケースもあります。

■ 被害者が陥りやすい心理

ポンジスキームの被害者は「欲深い人」だけではありません。

実際は、「知人からの紹介」や「実績を信じて」出資してしまう人がほとんどです。

最初の数回は本当に配当が支払われる

“紹介したらボーナス”と誘われる

契約書が立派で、会社も実在している

こうした「信用の演出」が、人々の警戒心を麻痺させていくのです。

■ ポンジスキームを見抜くチェックポイント

「確実に儲かる」「元本保証」と言っていないか

運用実績や会計報告が曖昧ではないか

金融庁登録業者かどうかを確認したか

契約内容を理解できるまで説明を受けたか

紹介者が“知人”であることを理由に信用していないか

少しでも不自然な点があれば、冷静に立ち止まることが大切です。

■ まとめ

ポンジスキームは、最初はきらびやかで成功者が集うように見えます。

しかし実態は、お金を集め続けなければ崩壊する砂上の楼閣です。

法律の世界では「元本保証をうたう投資は、原則として詐欺と紙一重」とされています。

もし「うますぎる話」だと思ったら、それはすでに“危険信号”です。

信頼は書面で裏づけられて初めて本物になります。

投資や出資の話があれば、必ず契約書の中身と運営者の法的資格を確認しましょう。

南本町行政書士事務所 特定行政書士 西本

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