【専門家監修】遺言でできる法律上のこととは?付言事項も合わせて解説

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はじめに:遺言書の効力、正しく理解していますか?

終活の一環として「遺言書」を作成する方が増えています。
ですが、意外と知られていないのが、「遺言で法律的に何ができるのか」という点です。

さらに、「付言事項(ふげんじこう)」と呼ばれる法的効力のないメッセージの活用も注目されています。

この記事では、

  • 遺言でできること(法的効力がある内容)
  • 遺言に書けるが、法的効力がない付言事項
    について、わかりやすく解説します。

遺言でできること【法律で定められている内容】

遺言書には法的効力を持つ項目として、主に以下のことが書けると民法第960条~第1020条で定められています。

① 財産の処分(相続分の指定・遺贈)

  • 相続分の指定
    → 子どもたちの相続分を「○:○」と具体的に指定可能
  • 特定の財産を誰に渡すか決める(遺贈)
    → 例:「自宅の土地は長男に」「預貯金の半分は孫に」

※法定相続人以外(例:内縁の妻、恩人など)にも財産を渡すことができます。

② 相続人の廃除・その取消し

  • 生前に虐待や重大な非行があった相続人を相続人から外すことが可能です。
  • ただし、家庭裁判所の審判が必要で、遺言だけでは確定しません。

③ 遺言執行者の指定

  • 遺言内容を実際に実行する「遺言執行者」を指定できます。
  • 弁護士や司法書士など、信頼できる第三者を選ぶと安心です。

④ 認知(婚外子の父であることを認める)

  • 遺言で子どもを認知することが可能
  • これにより、その子は法律上の相続人になります。

⑤ 未成年後見人の指定

  • 遺言で、自分の子どもが未成年である場合の後見人を指定できます。
  • 亡くなった後の子どもの生活を守るための大事な選択です。

⑥ 祭祀承継者の指定

  • 仏壇・墓地・お位牌など、先祖代々の祭祀財産を承継する人を指定できます。
  • 家族内のトラブルを防ぐ意味でも重要な項目です。

遺言書に書いても「法的効力がない」けど大切なこと=付言事項とは?

付言事項(ふげんじこう)とは?

付言事項とは、遺言書の中に書かれる**「気持ちや想い」などの自由記述欄**です。
法的な拘束力はありませんが、家族の心に響く大切なメッセージになります。

付言事項の例

  • 家族への感謝の言葉
    「これまで支えてくれてありがとう」
  • 遺産分割の理由
    「介護をしてくれた長女に多くの財産を残します」
  • 争わないでほしいという願い
    「私の意思を尊重し、家族仲良く暮らしてほしい」
  • 葬儀や供養の希望
    「葬儀は家族だけで静かに行ってほしい」
  • ペットの世話についてのお願い
    「愛犬ココの面倒を次男に頼みます」

なぜ付言事項が重要なのか?

  • 家族の気持ちを和らげる効果があります
  • 相続で揉めやすい場面でも、「本人の想い」を明記することで感情的な対立を避けやすくなる
  • 法律ではカバーできない**“想い”を伝えることができる**

【まとめ】遺言でできることと付言事項、両方を活用しよう

内容法的効力目的
財産の分配あり相続・遺贈
相続人の廃除あり(審判要)トラブル回避
遺言執行者の指定あり円滑な遺言実行
認知・後見人・祭祀継承あり家族関係・死後の手続き整備
付言事項なし家族への想い、遺言の背景説明など

よくある質問(FAQ)

Q1. 付言事項だけ書いても意味はありますか?

法的効力はありませんが、家族の心を動かす力があります。
ただし、財産に関する希望は必ず法的に有効な形で記載しましょう。

Q2. 付言事項をどう書けばいいかわからない

特別な形式は不要です。あなたの言葉で、家族への想いを正直に書くことが大切です。
心からのメッセージが、遺された人の支えになります。

Q3. 遺言書の書き方が不安です。どうすれば?

自筆で書く方法もありますが、不安な場合は専門家(弁護士・行政書士)に相談しましょう。
法的効力を確実にするために、公正証書遺言を利用するのもおすすめです。

まとめ:遺言書は「法律+想い」の両輪で

遺言書には、法律で定められた効力ある内容と、
気持ちや背景を伝える付言事項の両方が書けます。

  • 法律的な権利関係を整理すること
  • 家族に「想い」を伝えること

この両方を備えた遺言書こそが、“争族”を防ぎ、残される家族の心の支えになります

遺言書の作成ページもご覧ください。

大野

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