天皇を祀る神社 ― 明治以降の事例を中心に

日本の神社には、天照大神や八幡神といった神々だけでなく、歴代天皇を祀るものも存在します。古代から「神格化された天皇」を祭神とする神社はありましたが、近現代に入ると特定の天皇を祀る神社が新たに創建されるケースも見られます。ここではその代表的なものをご紹介します。

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明治天皇を祀る神社

明治神宮(東京都渋谷区)

最も有名なのは、明治天皇と昭憲皇太后を祀る明治神宮です。1920(大正9)年に創建され、東京を代表する神社として参拝客数は全国でも常に上位を誇ります。

北海道神宮(札幌市)

もともとは大国魂神・大那牟遅神・少彦名神を祀る「札幌神社」でしたが、1964年に明治天皇を合祀し、現在の「北海道神宮」となりました。開拓と近代国家の歩みを象徴する存在となっています。

大正天皇を祀る神社

多賀城神社(宮城県多賀城市)

明治神宮のような全国的に知られた大規模社殿は少ないですが、大正天皇を祀る神社もあります。代表的な例が宮城県の多賀城神社で、昭和天皇の即位を記念して創建され、その後大正天皇を祭神としました。

昭和天皇を祀る神社

昭和天皇を祀る動き

昭和天皇は平成元年(1989)に崩御されましたが、その後、各地で「昭和天皇を祀る神社」が創建されています。

  • 昭和天皇遥拝所(香川県高松市など)
    本格的な神社というより、地域での慰霊・追慕の場として整備されることが多いです。
  • 武蔵野陵周辺(東京都八王子市)
    公式に神社は建てられていませんが、陵墓そのものが参拝の中心となっています。

近代以降に整備された「天皇を祀る神社」の特徴

  1. 国家的事業として創建
    明治神宮のように、国民的規模で創建された神社は、近代国家の象徴的存在となりました。
  2. 地方での合祀
    北海道神宮のように、既存の神社に天皇を合祀する事例も見られます。
  3. 昭和以降は限定的
    戦後は政教分離の観点もあり、天皇を祀る新しい神社は減少傾向にあります。そのため、陵墓や記念館が参拝・追慕の中心となっています。

まとめ

  • 明治天皇を祀る代表的な神社は「明治神宮」と「北海道神宮」。
  • 大正天皇は「多賀城神社」など、各地に祀られている事例がある。
  • 昭和天皇以降は、神社よりも陵墓や記念施設での参拝が中心となっている。

つまり、近現代の天皇を祀る神社は限られており、特に明治神宮が最も有名かつ象徴的な存在といえます。

大野

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