契約書はビジネスにおける重要な取り決めを文書で明確にするためのツールです。しかし、契約締結後に「誤記や漏れがあった」「内容に不備が見つかった」「解釈の違いが生じた」といった問題が発覚することも少なくありません。
こうした場合、**契約を再締結する(やり直す)**必要が生じることがあります。今回は、契約書の不備を発見したときに取るべき行動と、再締結の注意点について解説します。
よくある契約書の不備とは?
まずは、再締結が必要となる典型的な不備を見ておきましょう。
- 当事者名・住所・社名などの記載ミス
- 契約の日付が誤っている、未記載
- 条文の抜け・重複・論理矛盾
- 法律違反や、公序良俗に反する条文
- 意図しない内容で締結してしまった(意思の齟齬)
こうした不備は、将来トラブルに発展するリスクが高いため、早期に見つけた場合は放置せず適切な対応が求められます。
契約書を再締結する際に取るべき行動
不備が見つかった場合、以下の手順に沿って対応するのが一般的です。
1. 不備の内容を明確化する
まず、どこにどんな不備があるのかを整理し、関係者全員で共通認識を持つことが重要です。不備の程度(軽微な誤記か、契約内容の根幹に関わるか)によって対応方法も変わってきます。
2. 契約当事者間で協議・合意を得る
契約は「合意」が基本です。不備の修正や再締結の必要性を相手方に説明し、双方の同意のもとで進めるようにしましょう。一方的な修正や破棄は原則として無効です。
3. 再締結の形式を決める(訂正か再作成か)
不備の内容に応じて、以下のような方法を選びます。
- 訂正・修正契約書を交わす:軽微な修正の場合(例:誤字脱字)
- 覚書を交わす:一部条項だけ変更する場合
- 新たに契約書を作り直す(再締結):契約の内容そのものに重大な修正がある場合
4. 元の契約書の扱いを明確にする
再締結にあたっては、旧契約書の効力をどう扱うかをはっきりさせましょう。例えば、
- 「本契約は、令和◯年◯月◯日付の契約に代わるものである」
- 「旧契約を破棄し、本契約をもって新たに合意する」
などの文言を明記しておくと、後の混乱を防ぐことができます。
5. 契約書を締結しなおす
再締結した契約書は、通常の契約と同様に署名・押印(または電子署名)を行い、正副2通作成して各当事者が保管します。
契約書の再締結で注意すべきポイント
再締結を行う際は、以下の点にも注意しましょう。
- 元の契約ですでに履行済の部分についても、文面でどう取り扱うか記載する
- 契約の有効期間や中途解約条項など、再確認すべき部分も見直す
- 契約書のバージョン管理を明確にしておく
- 関連する他の契約(下請契約、ライセンス契約等)にも影響がないかチェックする
まとめ:契約の不備は「早期対応」がカギ
一度締結した契約書に不備が見つかった場合でも、冷静に対応すれば大きなトラブルを防ぐことができます。不備の内容を正しく把握し、関係者と協議の上で再締結を行えば、法的にも実務的にも安心できる契約関係を再構築できます。
なお、契約の再締結や修正は法律の専門知識が必要な場面もあります。対応に不安がある場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
契約書の追記で再締結のサポートも承っております。ご不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。
大野