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認知された子どもは日本国籍を取得できるのか?
日本人の父と外国籍の母の間に生まれた子どもが「認知」された場合、その子どもが日本国籍を取得できるのかという疑問は非常に多くあります。
この記事では、以下のような疑問にお答えします:
- 認知の効果とは?
- 日本国籍が取得できる条件は?
- 手続きは必要なの?
- 必要書類や流れは?
- ビザとの関係はどうなる?
順を追ってわかりやすく解説します。
認知とは?どんな効果があるのか
「認知」とは、父親が自分の子どもであることを法律上認めることをいいます(民法第779条)。
認知によって、子どもと父親の間に【法律上の親子関係】が生じます。
◆ 認知の主な効果
- 父と子の親子関係が成立
- 戸籍に記載される
- 相続権が発生する
- 将来的な扶養義務や氏の変更にも影響
ただし、認知されたからといって自動的に日本国籍が与えられるわけではありません。
日本国籍を取得するための要件とは?
認知された子どもが日本国籍を取得するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
◆ 国籍取得の主な要件(国籍法第3条・第2条等)
- 出生前に日本人の父から認知されている場合
→ 出生時に遡って日本国籍を取得できます(国籍法第2条1項2号) - 出生後に認知された場合
→ 原則として自動的に国籍は付与されません
→ ただし、20歳未満であれば「国籍取得の届出」をすることで日本国籍を取得することが可能です(国籍法第3条)
「国籍取得の届出」が必要なケースとその内容
出生後に認知された外国籍の子が日本国籍を取得したい場合、以下のような届出手続きが必要になります。
◆ 手続きが必要なケース
- 認知されたのが出生後であって
- 子どもが20歳未満であり
- 認知した父が日本国籍を持っている場合
国籍取得の届出の流れと必要書類
◆ 手続きの流れ
- 日本の法務局または在外公館に届出
- 書類審査(追加資料の提出を求められる場合あり)
- 受理されると日本国籍を取得
- 戸籍に記載される
◆ 主な必要書類
- 国籍取得届書
- 父母と子の戸籍謄本、出生証明書
- 認知届または認知が記載された戸籍
- 子の旅券や身分証明書
- 本人確認書類
- 宣誓書(国籍取得の意思を確認するため)
- その他、事情に応じた書類(翻訳文や認証書など)
手続きによる効果は?
- 日本国籍を正式に取得
- 日本人として戸籍に記載
- 将来的な日本のパスポート取得が可能
- 在留資格(ビザ)変更の対象となる
認知とビザ(在留資格)の関係
認知された子どもが日本に住んでいる場合、以下のような影響があります。
◆ 国籍取得前
- 「定住者」などの在留資格で滞在しているケースが多い
- 認知によって「定住者」への変更申請が可能になることも
◆ 国籍取得後
- 日本国籍となることで在留資格は不要
- 外国人登録(在留カード)も不要となる
- 国民健康保険や住民票も「日本人」として扱われる
よくあるQ&A
Q:認知されたら自動的に日本国籍がもらえるの?
A:いいえ。出生後に認知された場合は手続きが必要です。
Q:国籍取得の期限はある?
A:はい。20歳になる前までに手続きを行う必要があります。
Q:父が認知を拒否したらどうなる?
A:家庭裁判所で認知の訴えを提起することが可能です。
まとめ:認知された子どもが日本国籍を得るには「届出」が必要です
認知されたこと自体には大きな法的効果がありますが、日本国籍を取得するためには別途「国籍取得の届出」が必要なケースが多いです。
子どもの将来の選択肢を広げるためにも、手続きは早めに検討しましょう。
ビザの問題、生活基盤の整備にも関わる重要な手続きです。お悩みの方はぜひ専門家にご相談ください。
大野