民法を勉強していると意思表示という項目があるかと思います。
意思表示とは、法律効果の発生を欲する意思を外部に表示する行為を言います。
その要素は、「効果意思」と「表示行為」の2つといわれています。
効果意思とは、法律効果の発生を欲する内心の意思です。
たとえば、「甲自動車を買いたい」という内心の意思です。
表示行為とは、効果意思を具体的な形として外部に表示する行為です。
たとえば、甲自動車の購入を申し込む行為
この両者が一致していない場合、心裡留保、通謀虚偽表示、錯誤などの問題が生じるのです。
では、それらの問題が生じた場合、効果意思と表示行為どちらを重視するべきなのでしょうか。
法律行為における意思表示の過程(動機→効果意思→表示行為)のどこに重点を置くべきか。
これについて、意思主義と表示主義という考え方があります。
意思主義は、意思表示の過程の中で効果意思に重きを置く考え方です。
意思と表示の不一致は原則として無効と考えます。
意思表示者の保護を重視します。
表示主義は、意思表示の過程の中で表示行為に重きを置く考え方です。
表示があった場合、有効と考えます。
取引の相手方の保護を重視します。
例えば心裡留保(民法第93条)
「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。 ただし、相手方が表意者の真意を知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。」
すなわち、この条文は表示通りの効果を認めていますから、原則、表示主義ということになりますね。
では、通謀虚偽表示(民法第94条)
「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。」
こちらの条文は意思主義、表示主義、どちらでしょう。考えてみてください。
大野