民法第545条には解除の効果について規定をしています。

第545条【解除の効果】
① 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
② 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
③ 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
④ 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。

契約が解除されると、その効果として原状回復義務が生じます。
給付された物は受領時以後に生じた果実とともに返還し、金銭を返還するときは受領時から利息を付して返還をします。

この原状回復義務については2つの考え方があります。
・直接効果説
・間接効果説

①直接効果説(判例)
解除により(解除の効果として)、契約に基づく債権債務関係はすべて遡及的に消滅すると考える説

そのため、原状回復は「不当利得の返還」ということになります。
また、契約が遡及的に消滅し、なかったことになりますから、損害賠償を請求できないはずなので、これを民法545条4項で「特別に認めた」ということになります。

②間接効果説
解除によって契約関係に基づく債権債務関係は消滅せず、清算の権利(未履行の債務が履行を拒絶できる権利、返還の請求をすることができる権利)を与えただけと考える説

そのため、原状回復は「法が特別に認めた」ものということになります。
また、契約は消滅しませんから、損害があれば当然に賠償請求できますので、民法545条4項は「注意的に定めた規定」ということになります。

大野