前回は、借地権の存続期間と更新についてみてきましたが、本日は建物賃借権についてみていきます。
建物賃借権については、存続期間についての法定期間は定められていませんので自由に設定することができます(法第26条第1項)。
ただし、1年未満の期間を定めた場合は、期間の定めのないものとされます。
ア)期間を定めなかった場合:期間の定めがない建物賃貸借
イ)期間を6か月と定めた場合:期間の定めがない建物賃貸借
ウ)期間を15年と定めた場合:存続期間は15年
では、存続期間が満了した場合、どうなるのでしょうか?
①期間の定めがある場合の更新
特約がない限り「期間の定めがない」賃貸借として更新されます(法第26条第1項)。
ただし、当事者が期間満了の一年前から6か月前までの間に、相手方に対してア)更新をしない、イ)条件を変えなければ更新しない、旨の通知をすれば、更新を阻止することができます。
この通知を貸主から行う場合には、正当事由が必要とされます(法第28条)。
②期間の定めがない場合
いつ賃貸借を終了させるかの話になりますが、解約の申入れによって終了させることができます(法第27条第1項、民法第617条第1項第2号)
・貸主から解約の申入れをする場合
正当事由が必要(法第28条)
解約の申入れの日から6か月を経過すると終了します。
・借主から解約の申入れをする場合
正当事由は不要
解約の申入れの日から3か月を経過すると終了します(民法第617条第1項第2号)。
③使用継続更新(法第26条第2項)
更新拒絶の通知をし賃貸借を終了させた場合(①)、解約の申入れによって賃貸借を終了させた場合(②)、いずれの場合であっても、終了後に賃借人が建物の使用を継続していた場合、賃貸人が遅滞なく異議を述べなかった場合(正当事由が必要です)、更新されます(期間の定めがない賃貸借となります)。
大野